「ハイドアウト」 感想 猛暑ゾンビ爆誕

概要

原題:THE HIDEOUT
製作:2014年アメリカ
発売:動画配信のみ
監督:デニー・バーンズ
出演:パトリック・ラザーラ/エリック・ステイバーグ/アンソニー・フィッツジェラルド

37℃超えの猛暑でホームレスがおかしくなり、市民を襲撃する事件が多発していた。そんな中、借金返済のために強盗を働くことになったコールは首尾よく金を奪って逃げることに成功する。しかし取立人がいつまで経っても現れない。いつの間にか猛暑ゾンビによって文明が崩壊していたのだ…

予告編




感想


プライムビデオにて本日配信開始の謎映画。
例によって「itnディストリビュージョン」のロゴからスタート。

くそったれZ級ゴミクズ映画の予感しかしません。
どんなにひどいものが観られるのか、期待で胸が躍りますね。



しかしなんということでしょう。
本作はitn印にしては珍しく、かなりマトモな部類です。Z級に毛が生えたぐらいのクオリティはある。
つまり、ギリギリC級映画と言えなくもない程度には楽しめます。
…前半はね。


借金返済のために強盗を働く羽目になったコール。仲間を集めて成功させたはいいが、いつの間にか周囲にはゾンビがあふれかえっていた…


っていう、ただそれだけの話なんですが、強盗を働くところまではそこそこマトモなクライムサスペンスのような雰囲気が感じられなくもないんです。一見ただの面白黒人っぽい仲間が実は盗聴器を持ってたとか、別の仲間が金を持ち逃げしようと企んでたりとか。微妙にスリリングな空気がなくもないんです(あるとは言ってない)


セリフもちょっと気が利いています。
例えば、

「返済は来週だ ケツをどけろ」
「ケツに痔(じ)を作ってやろうか」

なんていうやりとりがあるんですが、後者の返しはなかなか悪くない。
ただ、ケツに痔では当たり前すぎるのでそこは「ケツに結膜炎を作ってやろう」とかならもっと良かったかもしれません。あと、「痔」にわざわざふりがなが振ってあるのも見逃せないポイントですね。なんて細やかな気遣いなんだ。

さっきから何をアホみたいなこと言ってんだ?と思われるかもしれませんが、こういう見所をどうでもいいと切り捨ててしまう良識人はそもそもプライムの謎映画に手を出さない方が無難と言えます。プライムの謎映画とはこういう世界なのです。


そんな感じで前半はそこそこ楽しめるのですが、中盤から何の脈絡もなくゾンビが絡んできて全部台無しになってしまいます。

そもそも「気温37℃の異常気象で発生したゾンビ」って何なんですかね。こんな曖昧な発生源のゾンビなど聞いたことがない。噛まれたから感染してゾンビになるとかじゃなくて暑くて体温が上がり過ぎるとゾンビになるみたいなんですが。何かおかしくないか。
ま、別にどうでもいいけど…。

コールたちがゾンビに食われようと何だろうと本当にどうでもいいと言わざるを得ないので、ゾンビとの戦闘になると何一つ面白味はありません。
しかし、それを逆手に取ったかのような驚愕の大どんでん返しには笑いました。ゾンビ映画であのオチは珍しい。

…とは言っても、よく考えたらあの手のオチには「ゾンゲリア」という偉大な先達もありますし、第一本作の場合全く整合性もくそもない。単なるちゃぶ台返しに過ぎません。


まあそれでも他のitn印作品「コマンドシップ」だの「リベンジ・プラン」だのに比べたら遥かにマシだし、ゾンビ映画という括りで見ても「デッドトリガー」や「テリトリー・オブ・ザ・デッド」などよりはマシなので、よっぽどヒマで他にやることが何もないプライム会員であれば試しに見てみるのもあり…と言えなくもないかもしれません。


コメント