「エスケイプ・ゲーム」 感想 デスゲームと精神病院は危険な食い合わせ

概要

原題:Play or die
製作:2019年ベルギー
発売:クロックワークス
監督:ジャッカス・クルーガー
出演:チャーリー・パーマー・ロスウェル/ロクサーヌ・メスキダ

謎を解き、建物から脱出できれば一億円を得られるゲーム”パラノイア”に参加したルーカスとクロエ。しかしそれは単なる謎解き脱出ゲームではなく、しくじれば命を失うデスゲームであった。さらに、ライバルたちがゲームではなく何者かに殺されていることが判明し、”パラノイア”は混迷を深めていく。

予告編




感想


最近「エスケープ・ルーム」という映画が話題になっているらしいんですが、全く同じタイトルの作品がこれまでに何度も出ているせいで紛らわしくてあんまり観る気が起きませんでした。しかしそんなことで食わず嫌いをしても仕方ないなと思い直して借りて来たら、なんかこれもよく似た邦題の別物、つまりパチモンでした。異常に紛らわしい。

本作はフランスのベストセラー小説の映画化らしいんですが、なぜかベルギー製だし、それなのに作中では英語しゃべってるし、内容はゲームのタイトル通りパラノイアだしでもうカオスすぎます。




原作小説の関係かどうか知りませんが、本作はいきなり謎解き脱出ゲームの決勝戦から始まります。謎解き脱出デスゲーム自体は非常にありがちな題材かと思いますが、本作では賞金が一億だったり、主人公のルーカスがイケメンの神童だったり、会場に来ていたライバルを見て「あいつも勝ち残っていたのか」などと言っているシーンが何だか「ライアーゲーム」っぽいです。第一関門が日本の格ゲーだったので多分少しは参考にしたのではないでしょうか。


ただ、本作の謎解き脱出ゲームはあれと違って直接命がかかってます。相方が拘束されたところに大量の刃物が迫ってくる中で謎解きをせねばならない等、「ソウ」チックな感じ。まあもう何百回見たのか分からんようなありふれたシチュエーションですが、一応それなりに緊張感はあります。私も一億もらえるなら命を懸けて参加してもいいかなと思いながら観てましたが、1つ目の謎も2つ目の謎も3つ目の謎も何一つ解けずに憤死してしまいました。


しかしこういうデスゲームものって途中から脱線していくパターンが非常に多いんですよね。私としては最後までデスゲームの枠組みの中で戦ってほしいのでむやみに脱線されるとすごく萎えるんです。そういう目で見ると、本作は序盤からヒジョーに怪しいムードが漂ってる。ルーカスの相方のクロエは精神病院に入院歴があるし、脱出ゲームの舞台は精神病院だし、ゲームの名前が「パラノイア」なわけですから…

「実は精神病患者の妄想でした~!」系の自作自演オチをやろうとしてるのは目に見えている。というか、あまりにも見え透いていて逆にやれないんじゃないか、あるいはミスリードのつもりなんじゃないかと望みを持ってしまいます。


で、ルーカスたちが次々と謎解きをこなしていく中、なぜか他の参加者たちはサイコ殺人鬼にやられていく。段々謎解き脱出デスゲームではなく、ただのサイコ殺人鬼から逃げ惑う普通のホラー的な展開になってきちゃう。どうしてそうなるのか全然分からん。いや、分かるんだけど分かりたくないというか。

謎解きの一環かなと思ったら普通に拷問が始まったりするので、後半はもう完全に謎解きゲームから脱線しています。これはいけない。拷問自体もちょっと正視できないグロ表現ですが、それより私の嫌いなオチに向かって一直線なのが著しく良くない。どうして世の映画製作者はこのくそ面白くもない興醒めなオチに持って行きたがるんでしょうか?

まあ犯人のサイコっぷりを楽しむ純サイコホラーとして観ればそんなに悪くないかな…という気もしないでもないんですが、だとしてもいまいち納得はできない作品でした。

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