「テリトリー・オブ・ザ・デッド」感想  BRIKASU OF THE DEAD と呼びたい

概要

原題:Fubar
製作:2018年イギリス
発売:キュリオスコープ
監督:ベン・ケント
出演:マーク・ヒープ/ショー・ヴェリー/ダニー・キレイン/デヴィッド・モメーニ/ティモシー・ルノーフ



結婚を控えたサムとその友人たちは、独身最後のバカ騒ぎとして週末のゾンビ・サバイバルゲームを企画。森の中で襲ってくるゾンビにペイントボールを当てて撃退するごっこ遊びである。しかし、彼らはゾンビ役の元軍人をうっかり本当に殺害してしまう。隠ぺいを決意するサムたちだったが、不幸な事故はその後も続く。



予告編






感想



「~オブザデッド」という邦題かつ「ゾンビ映画界のニューウェイブ」という煽り文句が踊っているにも関わらずゾンビ映画ではないというキュリオスコープさんの荒技が光る英国紳士的ブラックコメディ。


それだけではなく、あのブリティッシュゾンビ映画界のレジェンド「『ショーン・オブ・ザ・デッド』の現代版」とまで書かれています。あれはもう古典扱いなのか。私はゾンビ映画を特別好んでいる人間ではないのですが「ショーン・オブ・ザ・デッド」は大好きで、少なくとも10回は繰り返し観ています。


なので本作もそれなりの期待を持って鑑賞したのですが、これは相当キツイ。ゾンビが出る出ないとかストーリーが云々とかいうよりも、下ネタ多めのブリティッシュジョークがふんだんに盛り込まれた会話とドタバタ劇そのものを愉しむコメディ映画なんだろうなとは思います。



が、その矢継ぎ早に繰り出されまくるゲスな会話に面白味が感じられない。英国紳士はどうもコメディはブラックであればあるほど良いと思ってるような気がするんですが、うっかりゾンビ役の人をぶっ殺してしまってはヘラヘラ隠ぺいし、うっかり無関係な民間人をぶっ殺してはヘラヘラ隠ぺいし、と本作に登場する英国紳士共がただのサイコパスにしか見えません。

「ショーン・オブ・ザ・デッド」は相手が本物のゾンビだったし、前置きの段階で登場人物に愛着を持てる作りだったからふざけた殺戮祭りを素直に笑いと受け取れましたが、ただのサイコパスが一般人を軽薄なノリで殺して隠してる本作はそうはいきません。



その軽薄なノリの会話さえ面白ければ、サイコパス風英国紳士共の蛮行もまだ許され得たのですが。
またはゴーンのように愉快な挙動やギミックのひとつでもあればまた違ったのですが。
ブラックなだけでユーモアがない。
いや、私には理解できなかっただけで、もしかしたら本当は風刺や皮肉が婉曲的に効いてる素晴らしいジョークも含まれていたのかもしれませんが。



率直に言って私の目に映る本作の実態は「ブリカス・オブ・ザ・デッド」とでも称するべき英国紳士のアレな面ばかり。大英帝国が阿片戦争やら三枚舌外交で世界を苦しめた国でもあったことを想起させてくれます。まあ過去の事はともかく、せめてブレグジットは何としてもソフトランディングを決めて頂きたい。


というか、「テリトリー」って何のことですかね。こんな味も素っ気もない邦題つけてそれなりのゾンビ映画だとアピールするぐらいならネタに走った方がまだ良心を炒めずに済むと思うんですが。



私はどんなKUSO映画でも必ず最後まで観てやるという気概と根性を持ち合わせているつもりなのですが、本作は1時間ちょいで脱落してしまいました。これは本当に滅多にないことです。本作に興味のある人はそれくらいの劇物であることを覚悟のうえでご覧ください。





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