「セーラ 少女覚醒」 感想(ネタバレあり) スターになるため身も心も腐り果てる

概要

原題:Starry Eyes
製作:2014年アメリカ・ベルギー
発売:アメイジングD.C.
監督:ケビン・コルシュ/デニス・ウィドマイヤー
出演:アレックス・エッソー/ノア・セガン/パット・ヒーリー

ハリウッドの大女優になるという夢を持つ少女(?)セーラ。しかし、オーディションでは連戦連敗。自信過剰なセーラは落ち続ける現実を認めることが出来ず、周囲を見下し軋轢を生んでいた。そんなある時、彼女はホラー映画のオーディションでまたしても落選。発作的なヒステリーを起こしてしまうが、逆にそれを気に入られる。これで女優になれると有頂天のセーラだったが、その製作会社は悪魔崇拝のカルト集団だった。

予告編



感想


2014年製作の映画がなぜ今頃?と思ったら、本作はリメイク版「ペット・セメタリー」の監督による作品とのこと。「ペット・セメタリー」は実に楽しみですね。まあここは田舎すぎて入ってくるのが遅いだけで、都市部ではもうとっくに公開されているんですが…。


内気だが実は自信過剰で友人たちを見下している歪んだ内面を持つ少女(?)セーラ。有名女優になるためなら、枕営業どころか悪魔に魂を売り渡すことすら厭わない。という話なんですが、前半は見ててすごく痛々しいです。精神的に。(後半は肉体的に痛い)

セーラは同じ夢を持った仲間と共同生活をしているんだけど、仲間と言っても決して仲が良いわけではない。チャンスを奪い合ったり、顔面をケガしてるのを見てほくそ笑んだりとやたらドロドロしている。嫉妬と憎悪の渦巻く人間模様が実に息苦しい雰囲気。なんて厭な業界なんだろうと思ってしまいました。

そんな中、大手にこだわらず自分でインディーズ映画を制作しようとしている奴だけが人格的にまともで、セーラに対してもすごく優しい。そうですよね、やっぱりカネにまみれた大手プロダクションの商業映画よりも得体の知れない超低予算自主製作映画の方が純粋だし意欲的で面白いに決まってます。私もメジャーな大作よりそういうインディーズ系をこれからもどんどん漁りまくろうという気分になってきました。


しかし、貧乏くさいインディーズ映画なんてクソだ!大手プロダクションでなければいけないのだ!という夢とか意地に囚われているセーラは、その大手プロダクションが危険な集団だと気づきながらもそちらの世界へ入り込んでしまう。


そこからは、それまでのリアル路線から打って変わってグチャドロの悪魔的スーパースプラッターに変貌。バケモノと化したセーラは髪の毛を毟ってはハゲ散らかし、ウジ虫を口からをドバドバ噴射しながら仲間たちをダンベルや刃物でザックザクのメッタメタに。こりゃスゲエや。久しぶりに勘弁してくれと懇願したくなるような刺激的で凄惨な大殺戮を拝ませてもらいました。

これはやっぱり有名女優になるためにはそこまで醜く激しい争いを制しなければならないという比喩表現なんでしょうか。つまり、安っぽいインディーズ映画なんぞを作ってるようなカス共やライバルのメス猫共を蹴散らして踏み潰して確実に息の根を止めてやりながら邁進せねばならんということか。セーラのような歪んだ人間性と何でもやるという根性、強すぎる野心はそれに適合していたという話なんでしょうね。映画業界の内実はこれほどまでにド汚く凄惨な悪魔的世界なのだと。まあそういう側面もあるだろうと想像はしてはいましたがあまりに徹底的すぎて、ただの一消費者としては何だか複雑な気分です。

ここまでやるからには、本作自体はインディーズ映画なんでしょうね。しかしリメイク版「ペット・セメタリー」は大手の製作会社なんじゃないかと思うんですが、こんな恐ろしい悪魔の世界へ行ってしまった監督は果たしてうまくやれているんでしょうか。







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