「マーダー・ミー・モンスター」 感想(ネタバレあり) スリーエムの謎

概要

原題:MUERE, MONSTRUO, MUERE
製作:2018年アルゼンチン・フランス・チリ
発売:クロックワークス
監督:アレハンドロ・ファデル
出演:ヴィクトル・ロペス/エステバン・ビリャルディ/タニア・カスチアーニ

静かな村で、ある日突然発見された首無し死体。捜査にあたった地元警察のクルスは、不可解な事件に頭を抱える。ほどなくしてクルスの不倫相手フランシスカが首無し死体となって発見され、彼女の夫ダビドが容疑者として逮捕される。しかし、死体の頭部にはとても人間業とは思えない何者かに食いちぎられたような痕跡があり、クルスは人知を超えた怪物の仕業では?と仮説を立てるが、周囲は耳を貸さない。一方ダビドは錯乱状態で、頭の中で繰り返し声がすると訴える「私を殺せ、怪物よ」と。やがて新たな惨劇が起こる。
(↑クロックワークスHPより)

予告編




感想

アンデス山脈の高地メンドーサが舞台のモンスター映画。

尺が1時間50分とけっこう長め。それでいてかなりスローテンポなうえ、ストーリーの意味も全く分からないわで正直面白かったとは言い難い。

しかし大変インパクトのある珍妙な映像が続出するので観ていてさほど退屈はしませんでした。駄作と切って捨てることは出来ないエネルギーはあります。アンデス山脈の景観も大変美しくてよろしい。景観以外はグチャドロに汚いですが。


田舎の農村で発見された女性の首なし死体。捜査担当の警官クルスは、容疑者ダビドの妻フランシスカと不倫関係にあった。しかし、今度はフランシスカが首なし死体で発見されてしまう…。

という話なんですが、まず驚くのがそのフランシスカさんのあまりにも強烈な眉毛です。イモト…いや、それを通り越して両津勘吉に近似していると言っても過言ではないレベル。現実にあんな眉毛の人がいるとは…。本作は「Murder Me Monster」という言葉とアンデスの山の形から「M」が謎解きに関わる重要なキーワードとなっているのですが、このお方の眉毛もまた見事な「M」を表しています。そんなオッサン顔のM字人妻と密通している主人公の警官クルスも不機嫌な大仏のような暑苦しいお顔のオッサンであり、そんな彼らのベッドシーンは端的に言って悪夢的であります。

 
首なし死体の断面には、緑色の唾液と怪物的なキバが付着しており、クルスはこの事件が人間ではない何者かの仕業ではないかと考えます。

というのは良いんですが、この常に不機嫌で陰鬱そうな顔をしているクルスという男、なぜか突発的にふしぎなおどりを踊り出したりするのです。それはフランシスカとの密会の時であったり、ボウリング場の鏡の前であったりするんですが、絵面のインパクトは絶大な割りにそれが何を意味しているのかは全く理解できず、なんかもうMPを吸収されてしまうばかりです。何なんだあの踊り。愉快な動きの割にむくれた真顔のままだしわけわかんねえ。

そして満を持して現れるモンスターがまたえらく強烈なビジュアル。なんすかあの金玉モンスターは…。不貞を働いた人間を罰するためにやってきた存在ってことですかね。だとしてもあそこまでストレートな外見にせんでも…。哀れなクルスはその金玉モンスターに腕を喰いちぎられたうえに尻を貫かれてしまった末、何かに目覚めてしまった風なエンディング。独創的にもほどがある。カルト化を狙ってませんかこれ。しかし、やっぱり意味は全然分からないです。何だったんだこの映画。

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