「エンドレス・エクソシズム」 感想(ネタバレあり) ランニングとボクササイズに励む悪魔

概要

原題:The Possession of Hannah Grace
製作:2018年アメリカ
発売:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント
監督:ディーデリク・ヴァン・ローイェン
出演:シェイ・ミッチェル/グレイ・デイモン/カービー・ジョンソン/スタナ・カティック

相棒を失くしたトラウマから酒と薬に溺れてしまった元警官のメーガン。友人のツテで、遺体安置所での夜勤の仕事を始めることに。数日後、安置所にハンナという女性の遺体が運び込まれてくる。しかし写真や指紋を採ろうとしてもエラーが頻発。怪奇現象を引き起こすその遺体に不審を感じていると、遺体を狙って侵入者がやってくる。

予告編




感想


めちゃくちゃ地味そうなのでスルーしかけてしまいましたが、これは案外面白かったです。


サイコキネシス的なパワーだけで人間を宙に浮かせてバキバキにしてしまえる超強力な悪魔がオープニングから出てきます。これはハデなホラー映画なのかなと思いきや、そこからはかなり地味でスローなストーリー展開。やっぱり地味な映画には違いなかったですね。


主人公メーガンはアルコールと薬物中毒から立ち直ろうとして遺体安置所での夜勤を始めた元警官の女性。しかし、精神的に問題を抱えてる状態でそんな毎日が肝試しな職業を選んでしまっていいものなのか? かなり疑問ではあります。とはいえ生きてる人とはほとんど関わらなくて済むから気楽、というのもまた否定できないところで、個人的にはちょっとだけうらやましくもあります。会社や学校で生きた人間の様々な思惑に囲まれて過ごすよりは、臭くても物言わぬ遺体に囲まれている方が実はストレスが少ないのかもしれませんね。


しかし本作はその遺体の中に超強力な悪魔が潜んでいたという話なので、夜勤中に怪奇現象が頻発してきます。しかもメーガンは精神的に不安定なので、怪奇現象の客観的な証拠となる監視カメラ映像と共に理性的に訴えても何だかんだと信じてもらえない。


そのためにメーガンを精神的に不安定という設定にしたのかなと思ったんですが、どうやら本作の悪魔はそういう人間の心の隙に付け込んで憑りつくという話なので、人を喰らって傷を回復させたら次はメーガンに憑りつこうとしていた節が感じられます。守衛や同僚が次々と襲われる中なぜメーガンだけがなかなか襲われないのか?という点についてはそれで説明が付くでしょう。


ただそれだけに、悪魔を倒して燃やした後、ラストのモノローグには非常に不信感を抱いてしまいました。

フツーに受け取ったら「たとえ悪魔であろうと私がアル中&ヤク中から更生するのを止められないのだ」みたいなメーガンの強靭な精神力を示唆しているようにも聞こえるんですが、なんでいきなりそんなメンタル強者になってるのかが納得しにくい。


となると、やっぱり乗り移られてしまったんかなあ…
バッドエンドだったのかなあ…
だとしてもそれはそれで、ランニングとボクササイズに励む悪魔っていうのもなんか変なんですけど。

乗り移られたのかいないのか、どっちとも受け取れるようでいて、逆にどちらにも受け取りにくい奇妙なエンディングでした。


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