「アムピトリテ 脱出不能な女たち」 感想(ネタバレ) 閉鎖空間×寄生生物…だがそれ以前の問題

概要

原題:Dead in the Water
製作:2018年アメリカ
発売:アマゾンプライムビデオ配信のみ
監督:シェルドン・ウィルソン
出演:ニコール・ブーシェリ/ビアンカ・シモン・マニー/エイミー・ルイーズ・ウィルソン

違法漁船を取り締まるため、海に出た女性だけの船。
彼女らは難破した船から見知らぬ男を救出する。
しかし、彼は謎の深海生物に寄生されていた。

予告編




感想

「蛾人間モスマン」とか「シャーク・キラー」と言ったイマイチ大人しめで弾け切れない微妙なモンスターパニック・テレビムービーを撮ってきたシェルドン・ウィルソン監督の新作。本作もsyfyチャンネル放送のテレビムービーです。

そしてDVD化もされずプライムビデオ直行。
これらの情報だけで、もう本作のクオリティは大体お察しいただけるかと思います。



まず、いきなり設定が意味不明でついていけません。

違法漁船の取り締まり活動をしている船が舞台なのですが、なぜか若い女性だけの乗組員で構成されているんです。しかも大半が、いや下手したら全員がド素人です。おまけにやたら仲が悪くてどいつもいがみ合いばかりしている。およそ社会性や規律の欠片もない不安定な感情だけで運営されている取り締まり船。

しかも目を付けた漁船にはとりあえず先制攻撃をしかけておいて、反撃されたら喜んで証拠を撮影しています。

こんなもん、存在自体が悪夢です。
そんな活動をしている団体がこの世のどこにあるというのでしょうか。
グリーンピースとかシーチワワでもこれよりはマシだと思いますよ。


で、たまたま海を漂ってた男を助けたら、謎の寄生生物が!
…っていうB級モンスター映画の王道的展開になるのですが、そこにいくまでがやたら遅い。船内で病気が流行ったらどうすんだとかのもめ事がくそ長く、解剖して調べるシーンも異様にダラダラしています。

また、謎の寄生生物の造形クオリティも相当低いうえに出番がかなり少なく、せっかくの閉鎖空間だというのに緊張感とか焦燥感を微塵も演出できていません。


まあ、syfyチャンネルだしそれぐらいはしゃーないかとは思うんですが。
syfyチャンネルだと思えば平均点ぐらいの酷さではありますが。



オチが想定を上回る驚愕の酷さでした。


寄生生物に仲間の大半をやられてしまい、残りは主人公デイナとキャットと魚類学者?の3人だけとなってしまいます。

キャットは壊れていたエンジンをやっとの思いで修理し、これで陸へ帰れると安堵します。

が、デイナは「あの怪物を世に放つわけにはいかない。人類が滅んでしまう。我々はここで沈むべきよ」とシーチワワも真っ青の自己犠牲心を発揮。

これにはキャットも「あんたが孤独だからって私を巻き込まないでよ!私は生き延びたいのよ!」と至極もっともな反応。しかしこちらが悪役と言わんばかりの演出。いや誰が見てもキャットが正常だと思うんですが。人類を滅ぼすほど強そうな寄生生物でもないしわざわざ道連れにする必要を感じない。



で、デイナはそんな聞き分けのないキャットの頭を強打して殺害し、船を沈めてしまいます。理不尽すぎてヒデエ。

しかも自分だけはちゃっかり助かりましたとさ。(魚類学者はいつのまにか死亡)
おまけに例の寄生生物もついてきてたっぽいし。
何から何まで最悪のエンディング。


全体的にどいつもこいつも異常に自己中なので女性への偏見をすごく助長しそうな内容でした。正常な神経をお持ちの方にはとてもじゃないけどオススメは出来ません。クソ映画マニアの方はワイン片手に納豆でもつまみながら優雅にご覧になると良いでしょう。

コメント