「ディレイルド 脱線」 感想(ネタバレあり) 列車が脱線しつつお話自体も脱線しまくる珍作

概要

ディレイルド 脱線(原題:D-RAILED)
製作:2018年アメリカ
発売:トランスワールドアソシエイツ
監督:デイル・ファビルガー
出演:カーター・スコット/シェイ・スモリック/エヴァレット・ウォーリン/ローガン・コフィー/ランス・ヘンリクセン/フランク・ラマース

豪華ディナーと推理ゲームを同時に楽しめる「殺人ミステリー急行」という体感イベント列車。ただのお遊びのはずだったが、強盗による本物の殺人が起き、パニックになってしまう。その結果、列車は脱線し勢い良く川へ転落。そして生き残った乗客をさらなる恐怖が襲う。


予告編






感想


走行しているはずなのに全くそうは見えない列車内の様子があの伝説的迷作「シベリア超特急」を彷彿とさせる意欲的珍作。トランスワールドアソシエイツの持ってくる映画は毎回同じような貧乏臭さが漂ってるんですが、本作は色々とぶっ飛んでいるのでマニア的にはかなり楽しめる部類です。




まず主催者が仰々しい挨拶を済ませ、ミステリーツアーが始まった…と思ったら1秒も経たないうちに本物の殺人が起きてしまい台無しになるオープニングは驚きです。まさに秒殺。せめてもうちょっと待てよと。あの前フリでまさか推理ゲームを一切やらないとは思わなかった。いきなりぶち壊すんだったらミステリーツアーにした意味が薄すぎるでしょう。もっとこう、偽装殺人に紛れ込ませたりするのかと思ったら金目当ての短絡的な強盗殺人に過ぎないっていう。



まあ、強盗が暴れたせいで列車が脱線して川へ突っ込んでしまうところまでは、C級パニック映画としてそこそこ楽しめます。



が、その川の中から何の脈絡もなくヴェノムみたいな謎のクリーチャーが襲ってくる展開はC級映画としてもさすがに頭おかしい。誰もそのクリーチャーに何の疑問も呈さないし。こういう時、できれば「アレは一体何者なんだ…」の一言くらいはあってほしいんですよね。でないと、あれがアメリカの河川では時たま見ることができる実在の生き物なのかと思っちゃうじゃないですか。なので、あんなわけ分からんクリーチャーではなくサメかワニにしておけばリアリティや整合性を損なわずに観られて良かったのではないかと。そいつらなら間違いなくアメリカ中の河川でいつでも見ることのできる極めてありふれた生き物と言えますし。



ただ、クリーチャーの造形はこの手の低予算映画としては素晴らしく良い出来です。相当のクリーチャー愛を感じます。これならクリーチャー映画大好きランス・ヘンリクセンが出演したくなるのも無理はない。逆に彼が路線変更させたのかもしれませんが。



で、結局そのクリーチャーは一体何だったのか? というのは、実はこれは※※※の出来事だったのだ…という驚愕の***トリックのおまけ程度に明かされます。明かされるというかウヤムヤにされると言った方がいいかな。しかも私はトリックも何も最初から※※※の話なんだと思って観てたので、そういう騙し方をしたかったのか??と逆に驚きました。このナンセンスな脱力系どんでん返しもまた「シベ超」のエンドロール後に通じるものがあり…

いや、別にないか。


ということで、珍作ハンターの好事家の方にはそこそこオススメです。




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