「ドール・メーカー」 感想

概要

ドール・メーカー(原題:Rock Paper Dead)
製作:2017年アメリカ
発売:アメイジングD.C.
監督:トム・ホランド
出演:マイケル・マドセン

若い女性をさらって殺し、人形に仕立て上げる殺人鬼ピーター、通称ドールメーカーが鬼のドイル刑事によって逮捕された。しかしピーターは心神喪失が認められ、精神科で治療を受け、数年後には釈放されてしまった。そんなピーターに、生い立ちを本にしたいと言う女性ジャーナリストが近づいて来る。



感想


トム・ホランドおじいちゃん久しぶりの新作映画。この人、まだ現役だったんですね。世間的には「チャイルド・プレイ(88年)」で有名な監督でしょうが、私はあいにくそちらを見たことはなく、「ランゴリアーズ(95年)」とか「痩せゆく男(96年)」などスティーブン・キングの小説をそこそこのクオリティでテレビ映画化してくれる職人というイメージでした。いずれにせよ前世紀の人物という印象は拭えません。





そんな80歳近いトム・ホランドおじいちゃんが撮ってるホラー映画ですから、見た目の雰囲気もバッチリ1980年代風味です。いかがわしくて血糊ドバドバでシナリオはガバガバ。古き良き時代のB級ホラー映画を愛する者にはたまらないノリ。



本作、ダイヤル式の電話が出てきたり、前時代的な鬼刑事が裁判中に暴れたり、精神科の治療がアタマに直接電気ショックをかます方法だったりします。なので、ただ映像やファッションが古臭いだけではなく、実際に80年代を舞台にした映画なんだなと思い込んで鑑賞していたのですが、終盤になって急にスマホが出てきて驚かされました。まさか現代が舞台だったなんて…。これはもはや叙述トリックとして成立してるレベル。ミステリではもろ禁じ手の○○ネタはどうでもいいから、そちらをメインにすれば面白かったのに。



しかしそれ以上に異質なのが、本作は冒頭で殺人鬼ドールメーカーが逮捕され治療まで施されてしまうということです。その後の殺人鬼ドールメーカーは過去に自分を虐待したおじさんとか幻影の双子の兄弟とかに苦悩しながら一般人としての生活を送り、そんな彼に近づく女性ジャーナリストが現れ…という感じのストーリーなので、例によって殺人鬼ドールメーカーのドールメーカーぶりはほぼほぼ発揮されません。

というか、人形へのこだわりがそんなにあるかというとそうでもなく、原題を見るに人形というよりはジャンケンにこだわりのある殺人鬼という気がします。発作的にグーチョキパーを出してるシーンがたびたび出てきますし、過去の殺人も被害者とジャンケンをして負けたら死ねと言ってましたしね。まあ、後出しで勝っているので別に大した意味もありませんが。「ドールメーカー」より「ジャンケン野郎がやってくる!」みたいな邦題の方が良かったのではないかと。



それでも、治療されたとはいえ凶悪な殺人鬼相手と接触を試みる女性ジャーナリストという構図はそれなりに緊張感があります。そうやって徐々に狂気を溜めて、終盤で一気に炸裂させる展開も突っ込みどころ満載ではあるけど、良いです。
…まあ、目の前で人が刺殺されてるのに逃げもせずのんびり通報してるおばさんには笑わせていただきましたが。
そういう愛嬌も含めて実に80年代風のいい加減さが心地良い。昭和的なホラーが好きな人にはオススメできます。



…しかし、エンドクレジット後に法廷で楽し気に踊りまくるマイケル・マドセン他多数の映像が流れるんですが、あれは一体何なんでしょうか。ホラーの余韻がぶち壊しとか言う次元ではなく、近年まれに見るシュールな映像でした。おじいちゃんボケたのかなあ…





コメント

匿名 さんのコメント…
・しょぼいアクションと共感出来ないヒロイン?おばさん
・どこで夢オチになるのと思わせる展開
・ヒロイン?おばさんの唐突な病み(夢オチにも出来そうで想定EDの一つ?)

EDロール後の法廷ダンスからすると「軽い映画なのでおまけ付けとくか」
という事なんでしょうかね…
岩石入道 さんの投稿…
>2023年10月5日 14:29の匿名さん

コメントありがとうございます。
とはいえ観たのが4年前なのであまり覚えていないのですが、
最近アマプラで配信が始まったとかでしょうか。
あのエンディングからすると軽い映画というか軽いノリで作っていたのかなあという気はしますね。