「ククイ 伝説のブギーマン」 感想(ネタバレあり) 弱すぎるメキシコ版なまはげ 

概要


製作:2018年アメリカ
発売:プライムビデオのみ?
監督・脚本:ピーター・サリヴァン
出演:マリソル・ニコルズ/ブライアン・クラウズ/アーネスト・コチャード

小さな田舎町で子供が次々と失踪する事件が発生していた。そこに住む少女ソフィアは、隣に越してきた怪しい男が犯人ではないかと疑い監視していたところ、奇怪な化け物を目撃する。それは、ラテンアメリカで言い伝えられている伝説のブギーマン”ククイ”であった。



予告編





感想

最近DVDスルーならぬプライムビデオスルーとでも言うべきかろくな宣伝もなくひっそりと動画配信だけ行われる映画が増えてきました。今のところそういう形態の作品にはDVDスルーに輪をかけてロクなものがなく、つまりはどこにも引き取り手のない駄作が最期に行き着く産業廃棄物処理場の如き悲惨で不毛な終着点という認識でした。

が、しかし、本作は非常に残念ながら至極真っ当に良く出来たお子様向けホラー映画です。これならソフト化してあげても良かったんじゃないか。


どうしてマトモな映画なのに残念がっているのか?

と言いますと、本作の監督・脚本を担当しているピーター・サリヴァンという男なんですが、彼はあの伝説級に知能指数が低いクソサメ映画「ジョーズ・リターン」の脚本に参加した人物なのです。


誰もそんな前科者にまともな仕事など期待するはずがありません。
「ジョーズ・リターン」はそれぐらい腐れ脳みそ極まる珍品だったんです。
なので今度は一体どんな素晴らしいバカ映画を見せてもらえるのか?ということだけが楽しみで再生ボタンを押したわけなんですが。なぜか普通に出来が良くて本当にガッカリです。彼には失望したと言わざるを得ない。


しかもママの言うことを聞かない悪い子をさらって喰らう怪物が題材ってことで、完全に小学校低学年あたりをターゲットとしたお子様ホラー。超ヌルイ。これじゃいくら出来が良くてもいい年の大人が愉しむのは難しい。当然ながら残酷シーンなど一切ないし、クソガキも最後には助かっちゃうし、ククイのビジュアルもなまはげと大差ない。お茶の間の一家団欒にふさわしいと言っていいほどド健全なので私の好みからは遠くかけ離れていました。



…とはいえ、全く見どころがないかというとそうでもなく、例えば冒頭はそれなりにエキサイティングです。


妹が学校でいじめられているのを目撃した主人公ソフィアがいきなりプッツンして車でいじめっ子を跳ね飛ばし、追い打ちで殴り掛かったうえ止めに入った警官にまで暴行を働くっていう。この時点ですでに伝説のブギーマンことククイよりよっぽど強そうな女だな…と思ったら、案の定彼女はクライマックスでは終始ククイを圧倒し一方的に踏みにじりジェノサイドする狂戦士ぶりを披露してくれます。

普通この手の映画だとオカルト的に弱点を突いたり、なんかのまじないで追い払ったりするのが定番だと思うんですが、本作は物理攻撃でゴリ押し撃破。このあたりの頭使ってなさは確かに「ジョーズ・リターン」に通じるものがありました。

それにしてもククイが弱すぎるのか、ソフィアが強すぎるのか。長年ククイを追ってたハンターは成す術もなくククイに殺されていたことを考えると後者っぽい。ラストではククイがたくさんいるククイ界の存在が明らかになってましたが、ソフィアは今後逆にククイ界で恐れられる伝説の怪物として言い伝えられていきそうな気がします。



まあそんな感じなのでプチ反抗期を迎えた小さなお子様をお持ちの方、もしくは「ジョーズ・リターン」マニアの方にお勧めです。



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