「相撲取りブルーノ」 感想  ゴーカートで入場するドイツ人力士

概要

原題:SUMO BRUNO
製作:2000年ドイツ
発売:プライムビデオ(配信のみ)
監督:Lenard Fritz, Krawinkel
出演:Hakan Orbeyi/Oliver Korittke/Julia Richter


ドイツの小さな田舎町リーザで、世界相撲選手権大会が開かれようとしていた。体重190キロの超肥満体であるブルーノは、デブのせいでいじめられている少年ティモを勇気づけるために出場を決意。リーザで寿司屋を営んでいる日本マニアの明石さんに弟子入りするのだった。


予告編






感想

いつのまにかプライムビデオで配信されていたかなりマイナーなドイツ映画。
ジャンルとしては一応コメディ扱いになってましたが、実際見てみると大して笑えるようなモンでもなく、しっとりとした人情味あふれる繊細なヒューマンドラマ系の映画でしたね。

無情に人が喰われてしまうような映画ばかり好んで観ている私にとってはかなり苦手なタイプの作品です。


ならそんなもん観るなよ、と言われても仕方がないんですが、ドイツ人が撮った相撲映画と聞くと好奇心が刺激されてしょうがない。ドイツ映画といえば病んでるスプラッターのイメージしかありませんでしたからね。


その前にまず世界相撲選手権なんてものがあるとは知らなかったので一応ググってみると、1999年にドイツのリーザという町で実際に開催されたことがあるそうです。当然ながら全く聞いたことも無い町だし、本作を観る限りとんでもない僻地にしか見えませんが、一体なんでまたそんなド田舎で世界大会などやったんでしょうか? それまでは毎回東京でやっていたのに、急に「次はリーザにしよう」と決めた人は何を考えていたのか想像も付きません。しかも2004年にも再度開催地に選ばれています。

まあ、何にせよ本作は2000年製作なので、その大会を見たドイツ人が触発されて作った作品なのは間違いないところでしょう。


デブであるせいでいじめられている少年。いや、デブは無価値などではない。デブであればあるほど輝くことが出来る場所もあるのだ。俺が相撲で世界一の称号を獲る。寿司屋の明石さんとの血のにじむような訓練。そして少年の母親と良い仲になっていき、大会当日を迎える…


「ドイツ×相撲」という異色すぎる取り合わせではありますが、ストーリー自体は実にありきたりというか王道です。ロッキーとかベストキッドに似てるが、あそこまでのカタルシスはない。それでは、ドイツ人の描く日本文化はどうだろうか?という視点で観ても、さほどおかしいところはない。そこら辺は軽薄なアメリカ人とは違ってくそ真面目なドイツ人らしく、ハラキリやニンジャなど影も形も出てきません。日本人としては本来喜ぶべきでしょうが、心のどこかで落胆していることもまた否定できない。


ただ、ブルーノの師匠となる寿司屋の明石さんは多少の突っ込みどころを提供してくれます。店の名前が「8人目の侍」で、ブルーノには武士道精神を説き、侍になれと厳しく指導。侍と力士の区別がついていない。…が、まあそれぐらいは仕方ないとも言えます。


相撲大会の様子もちゃんと日本人が運営で参加しているし、実にマトモ。いや、マトモすぎて逆に面白くないとケチをつけたくなるレベルです。しいて言えば審判が行司じゃなくて蝶ネクタイのレフェリーになっていることぐらいかな。あとゴーカート。


ということで非常に地味すぎるドイツ映画なんですが、相撲が好きな人ならボチボチ楽しめるのではないかと思います。


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