海鳥まみれの秘境・天売島に行ってみた





 




1泊2日で天売島に行ってきました。



天売島とは、北海道北西部の日本海に浮かぶ小さな離島です。面積がたった5.5㎢しかないので地図を見ていても存在に気づきにくく、道民の私でさえも長らく存在を意識したことがありませんでした。北海道の離島といえば利尻、礼文、奥尻ぐらいで、そこさえ別に一生行くこともなかろうと思ってたくらいです。



しかし去年職場に入ってきた同僚が天売島出身で、私が鳥好きと知ると猛烈に天売島をプッシュしてきたんですよね。あそこは海鳥が何百万羽と集まって来る途方もなく凄い所なんだぞ!人間は200人ぐらいしかいなくて最高だぞ!本当に何も無い島なんだぞ!てな調子で。






札幌から羽幌まで車で3時間半、

そこからフェリーで1時間半…


離島のわりには気軽に行ける距離感なので、まあここは口車に乗せられてもいいかなと思った次第です。




この時期フェリーは1日2便体制。

AM8:30のやつに乗り、歩いて島を一周してから宿にチェックインと決定。しかしそのためには朝4時半には家を出ないといけない。3時半起きとなると前日夜7時には寝ておきたいが、そんなに早く寝付くのは難しい。そこで、その前々日はLettuce702へ行って夜通しでクソ映画フルコース(全6本)を堪能し、夜7時に無理なく爆睡する体調を整えました。



平日の朝4時半に出るとさすがに車が少なく、一車線のオロロンラインも実に快適に走行できます。予定通り8時には羽幌に到着し、天売行きの切符を購入。乗客は30人くらいでしたかね。意外といるもんですね。



フェリーに乗るのは子供の頃以来だと言うと、周囲から船酔いするぞ!絶対に船酔いするぞ!!と散々脅かされたんですが、そんな気配は1mgもありませんでした。まったく、マスコミみたいに無駄に不安を煽るのはやめてほしいもんですな。






そんな感じでまずは手前の焼尻島に到着。

尻を焼く島って何だよ?昔そういう儀式でもやってたのか?…などと誤解しがちですが、元はアイヌ語なのでそういう意味ではない模様。

ここはここで「渡り鳥の楽園」だそうなので、今度はここを目的地にしてもいいかも。






天売島が見えてきたところ。

以前はフェリー乗り場でカモメのエサが売ってて、それを手に持っていればカモメがワラワラ食べに飛んでくると聞いていたんですが、今はやってないっぽくて残念。







夢の浮島に到着。

昭和の頃からありそうな絵だ。

この隔絶された離島の空気にはまだ昭和の残り香が漂っている…






港を展望。

民宿のお出迎えがそこそこ来ており、車は20台くらい止まっているし、フォークリフトも走っているしで意外と活気があるなと感じました。道路に出ると、こんな狭い島なのに意外と車がひっきりなしに走っていて驚きました。



チェックインまで5時間あるので、さっそく時計回りに島を歩いて一周します。自転車レンタルしてもいいけどそれだとすぐ終わりそうだからゆっくり歩き。





オロロン鳥の人形、一瞬本物かと思った。

この島はこういう古い民宿が何軒かあるけど、私は気後れして去年新しく出来た宿にしちゃいました。でも次回はこういうところに泊まってみようかな…。







天売オロロンパークゴルフ場。人影はまったくない。

連泊するんだったら暇潰しにやるのもアリですかね。







人口は減り続けている島なので廃屋がかなり目立ちます。あとで聞いたところによると、なんせ離島なので未登記の家屋が多く、持ち主すら分からなくて手を付けられないとか。







そんな島なのに、小中高と学校が揃っているのが驚きでした。てっきり「天売高校跡地」なのかと思ったら今でも生徒は10名いるそうで。看板の絵が良い味ですね。






奥に見える建物が小中学校。

小学生は3名、中学生は4名って言ってたかな…。








港から離れるにつれて人の気配がなくなっていきます。

しかしすれ違う人は全員しっかり挨拶してくれましたね。







左側に目をやると焼尻島がよく見えます。

朝は曇り空でしたが昼近くになるにつれ晴れてきました。

5月の天売は寒いぞ!と言われてたけど歩いてるとむしろ暑いくらいの陽気。







人間の居住区が東側なので、西側へ行くと完全に民家はなくなります。

ここからが待望の海鳥エリア。






あんまりいい写真撮れてないけどウミネコがウジャウジャいます。ウミネコは別に天売でないと見れない鳥ではないので一見ありがたみが無いようですが、実は絶滅危惧種。まあ私は何であれカワイイ鳥は好きなのでありがたく愛でます。とはいえこいつらはちょっと目が怖いよな…。






どこにでもいるウミネコ。

ウトウ(ここの珍しい海鳥)が帰巣した時、雛にやるために持ち帰った魚を横取りする極悪鳥みたいな言われ方もしていましたが。確かに悪そうな顔はしている。

でもエサやりたいなあ…。






天売島は予想外にアップダウンが激しく、ウミネコエリアを過ぎてからしばらく強烈な登り坂が続きました。これはかなりしんどい。ちなみに冬はここでスキーをやるそうです。






この島、人間とペット以外の哺乳類はいないそうですが、その代わりマムシがめちゃくちゃいるらしいです。まあウチの周りにも普通にいるんですがね。







ウトウの巣があるエリア。

そこらじゅう鳥のフンだらけ。

夜になると80万羽だかこの辺に戻って来る模様。

今回は「ウトウの帰巣ナイトツアー」に申し込んでおいたので、夜にまたここへ来る予定です。それにしても坂がきつい。







ちょうど尿意を催してきたところで公衆トイレを発見。

しかし「ウトウが入るからドアを閉めろ」とか「マムシ出没注意」などと書かれた公衆トイレも珍しい。利用者が少ないせいか中は綺麗な方でした。






側面にも注意書きが。

しかし夜はマイカーで来るなと書いてあるのに来てる人いたな…

野鳥ガチ勢っぽかったけどルールは守らないといけませんね。

夜はウトウが多すぎて車だと轢いてしまう恐れがあるからだとか。







トイレから少し登ると「赤岩展望台」があります。

断崖絶壁から見えるのはひたすら水平線の絶景。






私は高所恐怖症気味なので結構怖いんですよね。

しかしこの景色は素晴らしい。こんなにも「何もない」景色は見た事がない。脇の絶壁を見ればそこはそこで海鳥が拝めるし。全然人が来ないんでしばらくこの景色を独占していました。都会人的には相当な贅沢ですな。

もうお昼でしたが飲食店の気配はないのでここで手持ちのソイジョイを1本食べました。もうちょっと何か持って来れば良かった…






そこを出てまたしばらく登り、ようやく天売島のてっぺんあたりに到着。

基本この島はどこに居ても絶景ですが、ここはほんとにもうどの方角を見ても絶景しかない。

人間社会の腐ったケガレがポロポロ剥がれ落ちていくようです。帰ったらまたすぐケガレるんだけど。






横になんかの看板と細い脇道があったので入ってみる。

なんせ5時間もブラブラできますからね。






道の先には怪しい小屋が…

しかし本当にすごいところだ…

もしここでなんとなく転落しちゃっても誰も気づかないんじゃないか。







パラセールで飛び降りたくなる光景ですな。

やはり絶壁には海鳥がたくさん。双眼鏡持ってきてよかった。





さっきの赤岩展望台も怖かったけど、ここはもっと怖いんですよね。

この足場の建付けをそこまで信用していいのか!?このボロい小屋は本当に安全なのか!?そんなことを考え出すとこんなところに立っていられない…





それでも何とか中に入ってみました。

30倍の望遠鏡が設置されており、思う存分崖の海鳥たちを観察することができます。高所恐怖症の私は1分くらいでギブアップしました。まあ双眼鏡があるから…。外のベンチに1時間ぐらい居座ってのんびりしました。






その次は「観音岬展望台」

ここからの景色もまた格別にすごい…


ここでも全然人が来なかったのでまたしばらく堪能し、ようやく島を一周。

ここまで2万歩(15km)の運動…しかもアップダウンが激しいので疲労困憊。途中で草刈ってた人に「歩きですか?大変ですね」と声をかけられましたが、確かに自分以外に歩いてる観光客はいなかったな。かといってクルマだとあっという間だし、やはり自転車がベストなのか。







そしてここが本日の宿「天売マフレ」

見ての通りコテージです。新しくてキレイだけど、アリだけはめちゃくちゃ入ってきましたね。エサなんて何もないと思うんだが。それさえスルーすれば実に快適な施設でした。



ただ、夕食が…今の私には少ない。

味は良いんです。

が今の私には圧倒的ボリューム不足。

「前菜5種」「天売産ミズダコとトマトのスパゲッティ」「タラと季節野菜のグリル」「チーズケーキ」というコースで、どれも美味しかったです。特にタコとスパゲッティの組み合わせが地味に未体験の味わいで良かった。



まあ、周囲を見る限り、落ち着いたマダムや老夫婦が多かったので…彼らにはちょうど良い分量なのでしょう。私のように昼食ソイジョイ1本のみで2万歩15kmも歩いてから来る餓狼のことなど想定していなくても致し方なしと言えます。

ちなみにこの時の満腹度の推移は 0% → 40% といったところでした。



そんな状態で、続けてウトウの帰巣ナイトツアー開始。参加者は9人ぐらいだったかな。私以外はほぼグループ参加みたいで若干気まずかったです。しかし参加しておかないと後悔しそうだから仕方ない。



車で再び先ほどのトイレへ行き、照明を設置してから日没とウトウの帰巣を待ちます。巣穴はそこら中に何十万個とあるが、生い茂るイタドリが邪魔でごく一部しか見えない。ウミネコに潜られないようにかなり深く掘ってあり、卵を産むのは1羽につき1個だけなんだとか。それで日没になるとエサの魚を大量にくわえて戻って来るんですね。



ウトウは飛ぶのはヘタクソだけど海に潜るのは得意で、深い水域にいるホッケの稚魚などおいしい魚を持ち帰って来るそうです。ウミネコは逆に飛ぶのが得意でも泳ぎはイマイチで深く潜れず、それでウトウの獲物を横取りに来る模様。なるほど極悪鳥ですね。



それにしてもなかなか来ない。寒風吹きすさぶ中、ただでさえ疲労困憊+空腹なのに1時間も立ちっぱなしはかなりきつかった。この1日だけで体脂肪を200gは燃焼したのではないかと思われます。マジで。



20時近くになってようやく四方八方からバタバタとヘタクソな羽音を立てながら大量のウトウが飛んできました。それでも時速80キロのスピードなので直撃されないように気を付けてくださいとのこと。気を付けても当たる時は当たりそうだけど。



運が良ければ巣穴近辺をウロウロするウトウがじっくり見られるらしいしそれを期待していたものの、なかなかそんな都合のいい展開は訪れない。一羽だけ巣穴に潜る瞬間を目撃できましたが、本当に一瞬でした。そして20時までと厳格に決められているのでそれだけで撤退。撮影も何もできなかった…。まあ自然相手だから仕方ない。車を離れた所に停め直しているのでまたしばらく歩き。



車に乗ってからは、あまりにも車慣れしすぎたウミネコが道を開けてくれなくてなかなか進めないという珍現象に見舞われました。デカくて無害な動物が寄ってきたぐらいの認識なのか? うっかり尿意を催していたので結構キツかったです。





3時半起きでこの運動量!

基礎代謝の他に2372kcal消費!

もはや限界を超えていたので帰って即就寝体制。

スマホいじろうかなとも思いましたが、写真と動画を撮りまくりで充電が無い。

そしてモバイルバッテリーを持ってきていたのに充電ケーブルを忘れてくるという痛恨のミス。

バッテリーが単なるデッドウェイトになってしまった…。



…と思ったら翌朝食堂に行ったら充電サービスがあったんですけどね。気が付くのが遅かった。まあ離島に来てまでスマホいじることもないか…。朝食のホッケは非常に美味かったです。これならウミネコが狙うのも分かる。





チェックアウトしてフェリー乗り場へ向かう途中、利尻富士が綺麗に見えました。利尻にも一度くらいは行っておくべきかな…でも観光客多そうだな。







無事羽幌に到着…

ちょうどお昼だったのでフェリー乗り場にある「浜のかあちゃん食堂」で羽幌名物甘えび丼(2800円)を食べました。丼以外にもニシンの煮つけやタコの刺身などもあり、久々にボリュームのある食事をとれた気がする…。甘えびもいいけどオロロン米がとても美味かった。








フェリー乗り場に丸一日もクルマを放置して大丈夫かなと地味に心配でしたが、どうやら無事でした。








…と思ったら助手席側が全然大丈夫じゃない!!

なんだこのでかいフンは!ウミネコか!?

帰ってから気が付いたよ…くそったれめ…!






…まあフンはともかく、今回の道程ではこの車のわりには燃費がとても良かったです。

ガソリン消費量は18L以下で済みました。








お土産…というわけではなく自分用のTシャツ。

いつまでも必殺!恐竜神父だのセミマゲドンTシャツなんぞを着て街を歩くわけにもいきませんからね。これからはこのファッショナブルなてうりオロロン3兄弟Tシャツを着て徘徊しますよ。








手作りウトウフィギュア(2800円くらい)も購入。

リアルな姿をゆっくり拝めなかったので、これくらいは…。



他の海鳥については、双眼鏡で崖を眺めていると黒い鳥が結構いたので、多分彼らがケイマフリやウミスズメだったのではないかと思っています。しかしあんまりハッキリとは判別できませんでした。あとで聞いたところによるとアザラシなんかもいるそうなので次回行った時は探してみようかなと。「海鳥アドベンチャークルーズ」なんてのもあるのでそれにも参加してみたいんですけどね。



双眼鏡代も含めるとトータル5万円くらいの小旅行でした。離島と言っても札幌からであれば実際そんなに遠いわけではなく、そのわりには違う世界に来た感覚が味わえて充実した旅だったなあと思います。


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