「ペンギン・レッスン」 感想 人間社会における鳥類の重要性

概要

原題:The Penguin Lessons

製作:2024年スペイン・イギリス

配給:ロングライド

監督:ピーター・カッタネオ

出演:スティーヴ・クーガン/ヴィヴィアン・エル・ジャバー/ビョルン・グスタフソン/アルフォンシーナ・カロッチオ/デイヴィッド・エレロ/ジョナサン・プライス


1976年アルゼンチン。投げやりに生きていた英語教師のトムは、富裕層向けの寄宿舎学校に赴任する。だが軍事クーデターが起こり、一時ウルグアイへ逃亡。トムが浜辺を歩いていると、重油にまみれたペンギンを見つけたので救出する。その後、海に放そうとしてもどうしてもついてきてしまうので、仕方なく学校へ連れて行き飼うことにするが。


予告編

感想



どうぶつモノに社会派テーマを融合させた感動のヒューマンアニマルドラマ。


さほどあざとさはなく、油断していたらまんまと泣かされてしまいました。あの宝物のシーンは絶対に耐えられない。


普段こういうのは全然観ないんですが、鳥好きとして鳥が主役の映画は見逃せないのと、たまにはデトックス的な意味でメンタルにも良いだろうと思って行ってきました。いやまあダチョウとかが主役だったらスルーしてたかもしれんけど。



政情が不安定なアルゼンチンを舞台に色々あってやさぐれてしまった英語教師のトム、悩みを抱える同僚や校長や掃除のおばさん一家、学級崩壊寸前の子供たち、みんながペンギンと触れ合うことで何だかほのぼのイイ感じになっていく。これがアニマルセラピーの威力か。うるさそうな警察や税関もペンギンは見逃してくれるし、軍事政権のヤバそうな兵士たちですらペンギンを見れば大人しく手を引いてくれる。ペンギンさえいれば人類みな幸せになれるのだ…というメッセージですね、わかります。私も一生に一度くらいはペンギンに触ってみたいものです。



マゼランペンギンなのかフンボルトなのかよくわからなかったけど、本物の鳥類がこれだけ長時間に渡って演技している映画は初めてみました。いや、無理に演技させてるわけじゃなく人間の方が即興で対応していたらしいですが。



とはいえ映画としてはペンギンがカワイイだけの能天気なノリではなく、ある日突然軍事政権によって不当に逮捕され身近な人が消えてしまう緊張感も色濃く漂っている。人間は人間に対してはどこまでも残酷になれる生物。人間だけで構成された社会は極めてリスクが高いと言える。本作では円滑油としてのペンギンの重要性が表現されているのではないか。そんなわけないだろうけど、そんな風に感じました。来年は松江フォーゲルパークにでも行ってまた鳥まみれになって来ようかなあ。







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原作本。わりと地味な話なので実話ベースと聞いてもそこまで驚きはないですが、エンドクレジットで実際のフアン・サルバドール(ペンギン)の映像が出てくるところはしみじみしましたね。



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