概要
原題:GAGS THE CROWN
製作:2018年アメリカ
配信:トランスワールドアソシエイツ
監督:アダム・クラウス
出演:ローレン・アシュリー・カーター/トレイシー・ペレス/アーロン・クリステンセン/ワイアット・クーザー/ジェイク・マーティン
ウィスコンシン州グリーンベイで黒い風船を持つ謎のピエロ”ギャグ”が目撃される。それがSNSによって拡散され、一躍注目を浴びることに。街ではギャグを狩るために追う者、ギャグの仮装でイタズラする者、特ダネ狙いのリポーターなどが現れ、騒がしいことになっていくが…
予告編
感想
黒い風船を持って突っ立ってるピエロのせいで田舎町が大混乱に陥るホラー映画。
アマプラ299円。
近年のピエロホラーはアクティブに人々を襲いまくるイメージがありますが、本作のピエロ”ギャグ”は黙って立ってるだけでほとんど何もしない。さらに出番自体も一般的サメ映画におけるサメ程度しかない、非常に奥ゆかしいタイプ。それどころか、その正体も目的も何一つ明らかにされることはなく全てが謎のまま。アメリカ人にしてはちょっと控えめすぎるのではないか。もう少し自己主張した方がいいと思われます。接近時の映像の乱れからすると超常的存在ではあるようですが。
そのうえ本作はギャグを追う人々による4つのパートが平行に進む群像モキュメンタリーみたいな仕立てになっており、誰が主役か分からなくて若干とっつきにくい。ただイタズラ小僧のチームを除けば皆それぞれ少しずつギャグに近づいていく過程がじっくり描写されるので、クライマックスで彼らが一堂に介した際に起こる大惨劇を予感しながら楽しく眺めることはできます。
特に「銃を持ってギャグ狩りに向かった配信おじさん」と「ギャグの仮装をして街の人々を脅かすイタズラ小僧」が交錯した時に何が起きるかは誰の目にも明白でしょう。前フリも非常に丁寧です。イタズラ小僧の性格があまりに悪すぎるので、そこはワクワク感しかない。
というか、「特ダネ目当てにギャグと配信おじさんを追うリポーター」といい、警察以外は全く持ってろくな登場人物がおりません。私利私欲だけで怪しいピエロを追いかけるクズ共の浅ましさを愉しむ作品かなと思います。
配信おじさんは本人もさることながらカメラ担当の相方も異常に性格が悪く、何かと口汚く罵り合ったり、責任や罪をこれでもかと擦り付け合ったりと呆れるほどの醜態を晒してくれます。もはや不愉快を通り越して笑ってしまう。これが迷惑系配信者の楽しみ方か。そもそもギャグは立ってるだけなのにただの民間人が勝手に射殺しようとするのだからアメリカン自警団は恐ろしい。
ギャグは別に何もしないとはいえ、手に持つ黒い風船には何か相当ヤバイ物が入っているのだと盛んに示唆される。それを浴びたら最後、ただでは済まない。ギャグのテントを見つけたクズ共の末路はなかなか悲惨かつ滑稽。ピエロの正体が投げっぱなしなのを差し引いても、アマプラ謎映画の中では悪くない方の作品だったかなと思います。
「黒の風船を持つピエロ」(Amazon Prime Video)
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