概要
原題:Novocaine
製作:2025年アメリカ
配給:東和ピクチャーズ
監督:ダン・バーク/ロバート・オルセン
出演:ジャック・クエイド/アンバー・ミッドサンダー/レイ・ニコルソン/ベッティ・ガブリエル/マット・ウォルシュ/ルー・ビーティ・Jr.
先天性無痛症を患っているネイトは、大人しく真面目な銀行員として働いていた。だがある日、勤務先に強盗団が押し入ってきて金を奪われ、恋人のシェリーを人質として連れ去られてしまう。ネイトは何の戦闘スキルもなかったが、痛みを感じない体を武器に強盗団を追跡する。
予告編
感想
無痛症の男がスプラッターな目に遭いながらも強盗団に立ち向かうアクションコメディ。
木曜洋画劇場っぽい感じの予告に惹かれて観てきました。
痛覚は人間にとって必要だからあるものなんだと頭では分かっているのですが、だからと言ってそこまで過剰に痛みを伝えてくる必要はないだろと常々思っているんですよね。タンスにぶつけた足の小指とか、あるいは下痢腹に向かって「甘えるな!」と言いたくなる。痛みなんて現状の10%もあれば充分なんじゃないかな。これは明らかに神の設計ミスと言えます。まあ私は骨折すらしたことがないので大した痛みを知っている方の人間ではないと思われますが。
なので無痛症にはほんの少しだけうらやましい気持ちがないでもなかった。しかし本作を観て相当なデメリットがあることも知りました。舌を噛みまくるかもしれないから固形物は一切食べないとか、尿意も感じないからタイマーで一定時間ごとにトイレ行くとか。となると便意も感じないんだろうし、気づかないうちに他の病気が進行することもあり得るわけで、当たり前だけど現実的に考えたら相当つらい病気ですよね。
なのでそこまでふざけたバカ映画にするのは気が引けたのか、案外真面目な作品になっていました。無痛症の人にちゃんと寄り添っている気がするし、啓蒙にもなっています。恋人との出会いから始まる前フリが結構長いんですが、そのまま無痛症患者の恋愛映画として押し切ることもできそうでした。体の痛みは感じないけど、心の痛みはあるんだよ…的な。
VS強盗団が始まっても、敵がたった4人しかいないのでアクション映画としては小ぢんまりとしています。ただその分、どいつもこいつもマッシブでメチャクチャ強そうなのは良かった。いくら痛みを感じないとはいえ、マトモに攻撃が入ればあっさりぶち殺されそうなので常人と変わらないスリルがあります。それにそんな状況だとアドレナリンでどっちみち痛みを感じなくなりそうだし、殴られれば意識は朦朧とするし…と思うと、戦闘シーンに関しては無痛を活用し切れてないような気はします。
とはいえ、捕まって拷問されるシーンは正視に堪えないほど凄惨な絵面なのに「痛がっているフリをしなきゃ」の演技ひとつで笑わされてしまう。そこら辺は新鮮味があって良かったし、無痛症という生きづらさを抱えた男がそれを個性として人生の難所を乗り越えるドラマとしても楽しめたんですが、そこまでのインパクトはなく木曜洋画か午後ローのB級アクションとさほど変わらない後味でした。
コメント