「28年後…」 感想 ゾンビが足りない

概要

原題:28 Years Later

製作:2025年イギリス

配給:ソニー・ピクチャーズ

監督:ダニー・ボイル

出演:アルフィー・ウィリアムズ/ジョディ・カマー/アーロン・テイラー=ジョンソン/レイフ・ファインズ/エドヴィン・ライディング/ジャック・オコンネル


人間を凶暴化させるレイジウイルスの蔓延から28年後、わずかに逃れた人々はイギリス本土を離れ、ホリー島で独自のコミュニティを築いていた。そこで暮らす12歳の少年スパイクは、戦士としての通過儀礼のため父親ジェイミーと本土へ向かうことになる。


予告編

感想



英国産ゾンビ映画「28日後…」の続編「28週後…」から18年振りの新作。

前作は結構好きでDVDも買ってますが、さすがに昔すぎて内容はほとんど忘れました。自分勝手な主人公一家に協力してくれたかっこいい軍人さんが火炎放射器で燃やされるシーンが胸糞悪くて良かったことだけはうっすら覚えてますが。

次回作は「28光年後…」「28世紀後…」だったらいいな。



ダニー・ボイル&アレックス・ガーランドのコンビ復活ということでまたストレートな娯楽ゾンビ映画ではないんだろうなとは思いながら観に行きましたが、それでも思ってたよりだいぶ説教臭い内容でした。シリアス系ゾンビ映画は大抵ゾンビの脅威どうこうよりもそれを出汁にして人間の醜悪さとかあるいは逆に人間賛歌的なメッセージを強く打ち出してくるイメージがあり、その結果純粋なパニックホラーとしては物足りなく感じることが多いんですよね。



本作も完全にそんな感じでゾンビに追われるスリルや戦闘描写は二の次。島に引きこもって19世紀くらいまで文明が後退したようなコミュニティで暮らす主人公親子が弓矢を携えて感染者狩りに出かける序盤は何だか「進撃の巨人」っぽい雰囲気です。親父は強そうとはいえ12歳の少年とたった2人で、しかも武器は弓矢しかないのに無数の走るゾンビが徘徊する本土を探索するのはかなり緊張感があります。ゾンビ映画としてはこの序盤が面白く、その路線のまま最後まで突っ切ってくれれば良かったのになあと思うんですが。



しかし、子供に感染者とはいえ殺しをやらせ、野蛮で前時代的な男らしさをアピールしまくる親父についていけなくなった少年は、病気の母を連れて本土で生存している医者の元を目指して旅することに。現代的な感覚ではそりゃあの親父はNGだけど、私は別にそこまで酷い奴だとは思いませんでしたけどね。あの状況であのコミュニティならそういう風にもなるだろうし。




ただでさえまだ未熟な少年が病気の母という足手まといを連れているにも関わらず、序盤の緊張感はどこへやら何だかまったりした雰囲気になってしまう。あと、あの状況で赤子が何よりも大切!という価値観はどうもついていけない。そのために犠牲になったあの青年もすごくイイ奴だったのに、少年の母には全く顧みられることもなくクズ扱い。命の価値にそこまで扱いの差をつけていいものなのか? とはいえ脊髄引っこ抜きはプレデターみたいで良かったですけど。



ケルソン先生もどんないかれたサイコドクターなのかなと期待してたら別にそれほどでもないというかむしろただのいい人にしか見えなかった。「実は意図的に誤診したんだよグヘヘ」みたいな救いようのないオチさえ期待していた私の方がサイコ野郎でしょうか?



そんな常識人たちより最後の最後に出てきたジミーズを主軸にした方がテンション高くて面白くなりそうでした。なぜあんな面白そうなやつらをもっと早く出してくれなかったのか。まあ、続編は「28世紀後…」ではなく「28年後:ボーン・テンプル」という時系列的にはすぐ後のものになるようなので、そちらの方には期待できそうだなと思いました。




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