「ディアブロ エロスとバイオレンスの幕開け」 感想 残業手当さえ出していれば…

概要

原題:Scherzo Diabolico

製作:2015年メキシコ

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ

出演:フランシスコ・バレイロ/ダニエラ・ソト・ヴェル/レーナ・ペッツィ/パウ・アルバ/ビタ・バルガス


会計士のアラムは出世できないことを妻になじられ、鬱屈した生活を送っていた。そのうえ上司のグラノスキーには残業手当が出せないと告げられ、彼の狂気が爆発する。アラムはグラノスキーの娘を誘拐し、人里離れた廃工場に監禁。仕事どころではなくなったグラノスキーに取って代わり、ついに昇進したアラムだったが…


予告編

感想



今月から配信開始のメキシコ製アマプラ謎映画。

製作年度は2015年と結構古め。



「残業手当が出せないと告げられ狂気が爆発」というあらすじが気になり、鑑賞してみました。するとこんな邦題とあらすじのわりには意外と凝った映像でセリフ少な目に意味深な描写が多い。劇伴はクラシックピアノが頻繁に流れ、時にはロックアレンジがかかったりと芸術的でオシャレな雰囲気。エロスはそれなり、バイオレンスは結構どぎつい。これはいつもの謎映画やテレビ映画とは全然違う。



アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ監督は見た事なかったけど、実は結構名のある人らしい。トランスワールドアソシエイツは黙ってそんな掘り出し物を持ってくることがあるからアマプラ謎映画も案外あなどれません。



主人公アラムは会計事務所で真面目に働き、上司には頼られているものの収入はそれほど高くなく、奥さんにはいつも罵られている。と言っても、中の上くらいの生活は出来てるように見えますがね。乗ってる車がマツダのアクセラセダンというあたりがその微妙さを表現しているのか?  本当はカムリに乗りたいのか?



昇進できないならせめて残業代で稼ごうとするアラムだったが、「経費削減を上に命じられているから残業代は出せないんだ、分かるだろ」と上司に告げられてしまう。まあしょうがないですよねという顔でその場は受け入れるが、内心ブチ切れるアラム。



どこの国の会社でも似たような人間模様があるものですね。ところがアラムはそこまで激しくキレたのか元々犯罪者気質なのか上司の娘アラベラを拉致監禁し、上司が仕事どころではない状況へと追い込む手段を取る。



何か他にやりようがあるだろと言いたくもなりますが、アラベラをスタンガンで痛めつけて愉しみたい欲求もあったのか。そこまで極端に痛いことをされてるわけではないけど、ネズミに足をかじられるあたりはかなり痛々しいです。



そんなこんなで目的を果たしたアラムはアラベラを解放。これであとはバラ色の生活が送れるぜと調子に乗りまくるアラム。しかし、アラベラの方は何かがおかしい。両親の気遣いで朝食中にトルコ行進曲(アラムの大好きな曲)を聞かされたアラベラはいきなり殺人鬼に覚醒。まずは両親をバットでボコボコにして惨殺!(なぜ…)



普通の高校生だったはずなのに、アラムの周囲の人々を次々と残虐に葬っていくアラベラ。殺意と戦闘能力が異常に高く、スラッシャー映画のサイコ殺人鬼レベル。アラムに同情の余地はないので「いいぞもっとやれ」と言いたいところですが、結構陰惨なため爽快感があるとも言いにくい。アラムの愛人の顔にラップを撒いてバットで殴打する流血描写も地味にエグイし、脳みそぶちまけが2回もある。テーマとか何が言いたいのかはよく分かりませんでしたが、インパクトは絶大な怪作でした。




「ディアブロ エロスとバイオレンスの幕開け」(Amazon Prime Video)



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