概要
原題:PAINKILLER
製作:2021年アメリカ
配信:トランスワールドアソシエイツ
監督:マーク・サヴェージ
出演:マイケル・パレ/ビル・オバーストJr/トム・パーネル
大手製薬会社の役員や薬の売人が次々と殺害される事件が発生。彼らはみな6発の銃弾を撃ち込まれていた。犯人のビルはオピオイド系鎮痛剤で娘を失い、自らの手で悪人を処分していたのだ。
一方、外科医のローズはむやみにオピオイドを処方しまくり、製薬会社と手を組んでさらなるボロ儲けを目論んでいた。
予告編
感想
U-NEXTの見所解説で
「薬物の乱用や依存など深刻な薬物問題を背景に、子供を苦しめる社会悪に制裁を加えるアンチヒーローの暗躍を描き出す。マイケル・パレが安易に鎮痛剤を処方する医師を熱演。」
などと書かれていた社会派系サスペンス映画(by itn distribution)
こんな面白い紹介文を読まされては399ポイント支払ってでも鑑賞するしかない。
マイケル・パレがヤブ医者を熱演といえば直近では「マミー・インサイド」が記憶に新しいところです。本作にもそのような斜め上の活躍を期待してみたのですが、これが意外にも極めてシリアスな映画でした。マイケル・パレはあんなチョイ役ではなくしっかり主演級の扱いで、わりとマジでろくでもないクソ医師を熱演しています。パレも見た目はまだ充分イケてる方なのになぜこうも腐った小悪党役が多いんでしょうか。それはそれでおいしいからいいけど。
脚本家のトム・パーセルという人は本当に自分の息子をオピオイド中毒で亡くしたとあり、完全にその恨みつらみが入り込みまくった作品となっています。気の毒は気の毒なので、この映画で少しは気が晴れてるといいのですが。
フェンタニルやオピオイド系鎮痛剤を製造している製薬会社の役員とかその辺の売人に銃弾をぶち込みまくる6発銃撃犯ジム。彼は作中では正義の執行者であり、悪人として描かれておらず全然捕まる様子もない。
一方の我らがマイケル・パレは「安易に鎮痛剤を処方する医師」なんてカワイイものではなく、もっと積極的にオピオイド中毒者を作り出して稼ぎまくろうとする邪悪な存在です。マイケルのあまりにもイキイキとした悪党演技に思わず笑みがこぼれます。むしろもう好きでこういう役柄ばっかり引き受けてるんじゃないかという気がしてきました。そんな彼の画像を貼りまくりたいところですが、U-NEXTとかに怒られたら困るのでセリフをいくつか引用するにとどめておきます。
「君のようなゴミとは違うんだ」
クスリをもらいにきた中毒者の女にチクリと一言。
マイケル・パレ演じる悪党によくあるセリフです。
「私に思いやりを求めるのは間違いだぞ」
「愛には賞味期限があり、もう切れかかっている」
元相棒の奥さんを奪い取っておいて、用なしになったらこの対応。
えらそうで冷酷で知的な比喩がステキ。
「使えん殺し屋め!」
ラジオ番組でビルと口論して負けたのでムカついて殺し屋を差し向けたが、失敗に終わって悪態をつくマイケル。見た目弱そうだけど必殺仕事人ビルはほぼ無敵なんです。
「私は全く新しいレベルに進む」
手を組んでいた製薬会社役員の愛用銃を持って強気になるマイケル。
果たして彼は6発銃撃犯に勝てるのか!?
いや、どんな散り様を晒してくれるのか!?
まあ、確かに熱演と言っても過言ではないオーバーキルされっぷりにしんみり。
マイケル・パレのファンとしてはその熱演ぶりが楽しめる良い映画でした。基本まじめな社会派映画なのでこんな風に面白がってたら怒られそうですが、オピオイド問題は日本ではほぼ起きていないのであまり身近には感じられず正直ひどいことだねとしか言えないし何もできない。この記事で少しでもこの映画に興味を持った人がいてくれればそれでいいですかね。ただ社会派として見ると一方的に天誅を下していくだけなので微妙な感じではあります。
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