「ダム・マネー ウォール街を狙え!」 感想 愚かな資金でエリートを討つ!

概要

原題:Dumb Money

製作:2023年アメリカ

配給:キノフィルムズ

監督:クレイグ・ギレスピー

出演:ポール・ダノ/ピート・デヴィッドソン/ヴィンセント・ドノフリオ/アメリカ・フェレーラ/ニック・オファーマン/アンソニー・ラモス/セバスチャン・スタン


2020年、しがない会社員のキースはSNSでローリング・キティと名乗り投資戦略を発信する小口投資家だった。彼はゲームショップ大手のゲームストップがボロ株扱い…過小評価されており、ヘッジファンドに空売りされているのはおかしいと訴え、自身でも全財産の5万ドルをゲームストップ株に投入していた。

そんな発信を続けるうち、その主張に共鳴する低所得者層がどんどん増えていき、ついには証券会社まで巻き込んだ大手ヘッジファンドとの全面戦争に発展していく。


予告編

感想




2021年初頭に起こったゲームストップ株騒動の実話を映画化。

こちらでの上映は朝8時からの1日1回のみ。

上映してくれるだけありがたいけど、朝早すぎてちとしんどい。



私もこの騒動についてのニュースは当時頻繁に目にしてはいたんですが、いかんせん遠い外国での出来事であり完全に対岸の火事だったので「何だか楽しそうな祭りが起きているんだなあ」「金持ちが大損するのは気分がいいよな」くらいにしか感じていませんでした。



ゲームストップがどんな感じの店だかも全然知らないし、実際のところ街のゲームショップなんて日本でもとうに絶滅しましたからね。自分の持ち株もまだコロナショックから回復したかどうかくらいの頃で余裕もなく、ちょっとその祭りに乗ってイナゴしてみるか!?という気分にはなれなかった。



しかしこうして一部始終を映像化されると、なぜ自分はあの時ゲームストップ株を買っていなかったのか!!と後悔してしまうほどの熱量を感じました。下手すると今からでも買ってしまいそうです。今日が日曜日で良かった…。



そりゃあ、自分が好きで投資している企業に対して、大富豪の大手ヘッジファンドが鼻くそほじりながら資金力にモノを言わせてズケズケと空売り攻勢を仕掛けてきたら許せなくもなるでしょう。貧乏人は富裕層に決して勝つことはできないのか。株式市場とは資金量の多寡のみで勝敗が決まってしまう戦場なのか。



否、そうではない。市場を舐めているヘッジファンドの横暴に対し、そうはさせまいと低所得の個人投資家が一致団結していく流れに庶民の魂を熱くさせるものがあります。



本作というかこの騒動で最も素晴らしいことは、大量の個人投資家がローリング・キティに共鳴してゲームストップ株を空売りに負けないほどに買いまくり、ついには踏み上げで暴騰してもなおヘッジファンドを潰すために売らずに持ち続けたことです。これはそう簡単なことではありません。



いや、実は売ってた奴も中にはいましたが、それは置いといて。自分の利益を犠牲にしても汚い富裕層に一矢報いたいという本物の意思力。最後の一文の何と感動的なことか。ヘッジファンドの汚さが度を越しているので、心置きなくスッキリすることができます。にしてもこれ、元気玉みたいな現象ですね。



ただ唯一気になったのは、ゲームストップの何がそんなに良くて選ばれたのかが分からないままだったことです。いや、この騒動において銘柄は空売りされてるボロ株なら別に何でもあり得たのは分かりますが、それにしてもゲームストップそのものについての描写が少なすぎた。一応ゲームストップで働く店員も出てくるし「ショートスクイーズって知ってます?」「エロい話か?」のくだりは吹きそうになりましたが。ローリング・キティも最初はただ純粋にゲームストップ株が良いと思って全力投資していたわけで、あの滅びゆく薄暗いゲームショップのどこにそんな魅力があったのかもできれば知りたいところでした。



コメント