「ウィッチスターズ 流星からの寄生体X」 感想 キモく美しい夜

概要

原題:StellaStrega

製作:2018年イタリア

発売:ジェミニエンターテインメント/ VIDEO VIOLENCE RELEASING

監督:フェデリコ・スファッシア

出演:グリエルモ・ファヴィラ/ラファエレ・オットレンギ/ジュリア・ゼエッティ/アレックス・ルッケジ/フェデリカ・バートラーニ


ハロウィンの夜、どこかの廃屋で男たちが娼婦を連れドラッグを用意し乱痴気騒ぎにいそしもうとしていた。だがその時、空から謎の宇宙生物が苦痛と共に降って来る。そいつらはカボチャや人体に寄生しまくり、ドロドロのクリーチャーへと変えてしまうのだった…


予告編

感想




イタリア製の低予算SFホラー。

ごく限られた経路でしか流通していなかった作品がこのたびめでたくアマプラでも配信されることになったそうな。今のところ有料ですが、200円と相当に良心的な価格です。itnの謎映画に299円出すことを考えれば無償に等しいと言っても過言ではありますまい。



まず冒頭で「お金を持ってない人は映画を作るべきじゃないわ!」などとほざいている女性配信者が恐ろしく無惨に寄生される場面の掴みが良いです。もちろん本作に大した金がかかっているはずもありません。そんなハンデは関係ない、圧倒的な熱量でこれから凄いものを魅せてやるぜ!という高らかな宣言。これは素晴らしい。



本筋は廃屋で遊ぼうとしていた男たちと娼婦たちが謎のグチャドロ寄生エイリアンに襲われるという内容。



とにかく寄生エイリアンによる人体溶解描写への力の入れようが半端ないです。これでもか!これでもか!とゲロゲロに溶けまくるゴア描写は非常にクオリティが高い。ゴア以外でも、例えばビンタを入れるシーンひとつとっても無駄にビシバシ凝ってて見応えがあります。それを彩るサイケな照明、常に立ち込める怪しいスモーク、キーキーわめくエイリアンの金切り声が悪夢的な雰囲気を醸し出しています。



そこには80年代頃に氾濫していた怪しいホラージャンクビデオの懐かしい香り…いや、発酵臭か腐敗臭が漂います。これはどう見ても配信やブルーレイといった近代的なものではなく胡散臭いVHSの波動。あの頃のジャンクビデオがそんなに良かったかどうか今となってはよく覚えてませんが、その辺の郷愁はしっかり押さえつつも質の良い作品を創ろうという志の高さが感じられます。



とはいえ映像も音もほぼ常時派手でうるさいので前半は何が何やら分からなくなってくる感も正直あったんですが、後半になってやけにシリアスで美しい人間ドラマを展開してくれるのはそれまでの汚さとの対比が決まっているように感じました。ゲロゲロの溶解苦痛地獄でこそ人間の愛は輝くのであると。一見滅茶苦茶なようでいて非常にマジメな作りです。ふざけた悪乗りで撮った映画じゃないんだぞということですね。と言いつつ合間合間に入る猫の映像は多分ふざけてたんじゃないかなと思いますが、それも含めて楽しい作品でした。



「ウィッチスターズ 流星からの寄生体X」(Amazon Prime Video)



コメント