「スリーピング・ルーム 娼館の秘め事」 感想 本当に恐ろしいのは…

概要

原題:The Sleeping Room

製作:2014年イギリス

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:ジョン・シャンクルトン

出演:レイラ・ミマック/ジョセフ・ビーティー/ジュリー・グレアム


イギリスのブライトンで娼婦として働いているブルー。ある日、彼女はヴィクトリア朝時代の高級娼館”ペルズ”を修復している男のもとへ派遣される。仕事の後、ブルーは部屋に置かれていたミュートスコープや、マジックミラーの裏に隠されていた秘密の部屋”スリーピング・ルーム”に興味を持ち、ペルズの歴史について調べ始める。


予告編

感想



2014年のイギリス製ホラー映画。

本作はクラウドファンディングを使って資金を調達して製作された最初のイギリス映画だそうです。よく9年も経ってから日本で配信されたもんですなあ。登場人物は少なく、尺も75分とかなり短め。

ちなみにこんなタイトルですが、エロスな要素は何もありませんのでご注意ください。



内容は、現役娼婦のブルーが古い高級娼館ペルズに隠されたおぞましい秘密について探っていたら恐ろしい心霊現象に見舞われる…という話。



わりとよくあるといえばよくあるパターンのストーリーです。古い娼館には大抵隠し部屋があるものだし、悪魔のようなオーナーあるいは客がいて、ひどい目に遭わされた娼婦たちがいます。その所業がミュートスコープに収められていたというのはなかなか風情があって本作独特の味となっています。



言葉で語られるかつてのペルズオーナーの鬼畜的所業は凄まじく、バッチリ映像化してくれれば相当いけてるホラー映画になったのではないかと思います。が、そこはミュートスコープの表現力の限界なのか、あるいはクラウドファンディングでギリギリ集めたお金で作られた映画の限界なのか至極アッサリした描写に留まっており、ホラーとしては物足りなかったかなと。



とはいえ娼館で起こる心霊現象は適切なペースでジワジワ恐怖を盛り上げていき、山場で現れる元ペルズオーナーの悪霊は貫禄充分。イギリスの低予算映画って本当に辛気臭いだけでキツいのが多いんですが、本作は安っぽさを極力感じさせない丁寧な作りで悪くないと思います。



ただ、それでも元ペルズオーナーの霊よりもブルーの雇い主の方が怖いんじゃないかなという雰囲気はありましたが。あの雇い主、元オーナーが憑りついた男を素手で殺す寸前までボコボコにしてましたからね。相手が霊に憑りつかれていると気づきもせずにボコり倒す無神経ぶりが逆にかっこよく見えてくるほど。まあ現実では絶対関わり合いになりたくないジジイだし、やっぱり霊よりそっちの方が怖くて厭ですね。



「スリーピング・ルーム 娼館の秘め事」(Amazon Prime Video)


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