「殺人美容師 頭の皮剥ぎ取ります」 感想 悪夢のかつら屋

概要

原題:The Stylist

製作:2021年アメリカ

配給:ハーク

監督:ジル・ガヴァーギジアン

出演:ナジャラ・タウンゼント/ブレア・グラント


満たされない人生を送り、他人に成り代わりたい願望を持つ美容師のクレア。彼女はお客の頭の皮を剥いでカツラを作り、秘密の地下室でそれを被ってどうにか願望を満たそうとしていた。そんなある時、常連客のオリビアに結婚式のヘアセットを頼まれるが…


予告編

感想



来年1月に劇場公開予定のサイコスリラー。

なんで配信が先行しているのかはよく分かりません。



邦題を見ると、表向きは美容師だが実は頭の皮を剥ぐという斬新な手口で仕事を請け負ってくれる殺し屋の話かな?と思ってしまいました。が、実際はサイコな女性美容師が歪んだ欲望を満たすために女性たちの頭の皮を剥ぎまくるという話。



まあ剥ぎまくると言っても1時間45分の長尺の中でたったの4,5回しか剥いでくれません。それなりにグロいけど殺人鬼映画として楽しもうとすると少々ボリューム感に欠けた印象。それにお客を眠らせるか殺してから犯行に及ぶのであり、被害者に意識のある状態で剥ぐわけではないので、それほど悲惨でも猟奇的でもなくむしろお上品な雰囲気が漂っています。



それ以外のところではやりたくもない結婚式のヘアセットを請け負ってしまったサイコ美容師クレアの苦悩が実に淡々と描かれます。カメラはずっとクレアを追い続けるものの、モノローグも何もなくクレアの表情や仕草、少ない会話でその内面を読み取れという作風。



それも決してつまらないわけではないんですが、そんなサイコな女性の繊細な心理を察しろといわれても私には少々難易度が高すぎました。女性なら少しは共感できる部分もあるのでしょうか? 私から見ればクレア自身も普通に美人なのでわざわざ他人に成り代わらなくてもいいんじゃないかと思ってしまうし、サイコ気味のせいでお客との会話が嚙み合わず気まずい空気になってしまうくだりは見ていて非常に居心地が悪いです。



とはいえ映像美に対するこだわりなどは並々ならぬものを感じますし、結婚式当日の異様な緊張感、読めていてもなお衝撃的なオチは素晴らしい。ということで、理解しにくいながらもそこそこ楽しめる作品でした。



「殺人美容師 頭の皮剥ぎ取ります」(Amazon Prime Video)



コメント