「ジョーズ・ザ・モンスター」 感想 チープ・ブルー

概要

原題:Horror Shark

製作:2022年中国

発売:アルバトロス

監督:ワン・リーアン

出演:アレックス・フォン/チョウ・ウェイトン/ウェン・ドンジュン


海洋学者のミン・シューヤンは、人を助けた代わりにサメに足を喰いちぎられた過去があり、トラウマとなっていた。そんな中、上司のジョーンズ博士と共に海洋遺伝子研究所を訪れる。そこでは、サメをはじめとした海洋生物たちの種を保存するための実験が行われており、また、多くの観光客を呼び込むこともできる、海中にそびえ立つ巨大な施設だった。そこを運営しているチン社長は、絶滅危惧種であるホホジロザメの個体数を増やすために、秘密裏に危険な遺伝子実験を行っていた。しかし、その実験は失敗に終わり、1匹のホホジロザメが凶暴化。そして、その圧倒的な力で施設を破壊し、海に逃げ出そうとするが―。

(↑アルバトロスHPより)

予告編

感想



中国製の新作サメ映画。

中国製のモンパニは薄味で微妙なものが多く、そのうえ本作はこれといって何の特徴もない邦題とジャケ絵なので特に期待していませんでした。が、想定を遥かに下回る激ショボクソ映画っぷりで逆に驚き。そこそこ粗製乱造されている中国製サメ映画の中でも間違いなくぶっちぎりで最低のクオリティ。これはもうマーク・ポロニアの「シャーケンシュタイン」あたりと大差ないチープさなのではないかと思われます。



内容は、全体的に「ディープ・ブルー」のモロパクリで、ところどころに「MEG ザ・モンスター」など他作品のパクリも散見されます。ツギハギの設定と紋切り型のキャラクターが織り成す薄味やっつけストーリーには何のオリジナリティも旨味もなく、語るに値する部分がまるで何一つ存在しません。その辺のクソサメ映画マニアを適当に捕まえて脚本を書かせた方がマシだと考えられます。



話の内容に輪をかけて酷いのが映像面のいい加減さで、舞台となる研究施設の背景は大体CGや合成となっており、相当に違和感があります。まあ「インクレディブル・バルク」に比べればまあまあ綺麗な背景なのでまあまあ悪くないような気もしないでもないですが、「バルク」を体験していないクソ映画ビギナーの方に観せたら結構驚いてもらえることでしょう。



しかしそれよりも何よりも圧倒的に酷いのが水中のシーン。なんと空中に吊り下げられて泳ぐ動作をしている役者に水中の景色を合成する…という前代未聞の珍手法で度重なるサメとの攻防を描き切っています。なんという省エネ、なんというチープ感! 不自然に浮遊する人間に向かって雑なCGのサメがスライドしてきて、「ガオー」と吠えながら「カリッ!」と喰らう様は意図的にマーク・ポロニア作品をパクリスペクトしたのではないかとさえ思えます。そういや「ハウスシャーク」にもそういう水中シーンあったかな。



それならそれで本作はマーク・ポロニア作品やハウスシャークと同様に愛すべきクソサメ映画となり得る可能性も秘めているはずなのですが、無駄にシリアスでお涙頂戴を狙っているところが実にいけない。映像的にはもう誰が見ても笑うしかない出来なのだから、涙ではなく笑いを取りに来るべきではなかったか。主演の人がアイドル歌手だそうなのでコメディにはできなかったのかもしれませんが、かといってこれでは彼のイメージも少なからず傷ついたと考えられます。中途半端に酷いクソサメ映画を観るくらいならマーク・ポロニアの方がおもしろいですし、どうせならもっと開き直ってほしかったなと思いました。




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