「ブラッドムーン」 感想 汚物の月

概要

原題:A Werewolf in England

製作:2020年イギリス

配信:トランスワールドアソシエイツ

監督:チャーリー・スティーズ

出演:リース・コノリー/ティム・カートライト/ナタリー・マーティンス


殺人犯のアーチーは議員ホレスによって護送されていた。その途中、森のホテルで一泊することになる。だがその夜、アーチーはホテルの経営者が宿泊客をバラしているところを目撃してしまう。なんと彼らは森に棲む狼男たちに生贄を捧げていたのだ…


予告編

感想



「KKKをぶっ飛ばせ!」等のチャーリー・スティーズ監督作品。

昔のイギリスで議員や死刑囚がホテルに立てこもって狼男軍団と戦うスプラッターコメディ。



こちらもイギリスの低予算作品ですが、ルイーザ・ウォーレンとは違ってスプラッター描写には力が入りまくっているし、狼男の着ぐるみも非常にクオリティが高いです。どっかの民俗芸能の踊りみたいな緩慢な動きでノッシノッシと迫ってくる狼男が妙に可愛らしい。カネはなくてもやりたいことが明確で労力を惜しまず注ぎ込んでおり、その暑苦しい情熱がこれでもかと伝わってくる。これは非常に好感が持てるタイプの素晴らしいクソ映画です。



いや、それでも結局クソ映画なのかよ!と思われるかもしれません。が、議員が小便をビチャビチャと殺人犯の顔にかけまくるシーンとか、狼男がホカホカのビチグソをブリブリビチビチとしつこく議員たちの顔にぶちまけまくるシーンとかを見てしまうと、出来の良し悪しに関係なくやはりこれはクソ映画と言わざるを得ないのです。いや、正確に言えば下痢便映画となるでしょうか。あの狼男はお腹を壊していたのでしょうか。これから食べようって獲物に自分のビチグソで味付けしてしまっていいんでしょうか。私は真面目な顔をして一体何を書いているのでしょうか。



そのうえ目玉抉り出しや脊髄ぶっこ抜き等の血みどろスプラッター祭りが開催され、森のホテルは血肉とクソと小便にまみれた悪夢の修羅場と化してくれます。汚い・臭い・危険の3K地獄。しかも狭苦しい。…それでいて、そんな肥溜めの中で展開される人間ドラマはむしろ爽やかですらある。絵面の汚さと人間性の美しさが堆肥…いや対比されることによって際立ち、後味清々しいエンディングは本作への好印象だけを残してくれます。チャーリー・スティーズ監督作品では一番面白い作品でした。



「ブラッドムーン」(Amazon Prime Video)


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