「アンホーリー 忌まわしき聖地」 感想 神はすぐ怒る

概要

原題:The UNholy

製作:2021年アメリカ

発売:ソニー・ピクチャーズ

監督:エヴァン・スピリオトポウロス

出演:ジェフリー・ディーン・モーガン/ケイティ・アセルトン/ウィリアム・サドラー/クリケット・ブラウン/ディオゴ・モルガド/ケイリー・エルウィズ


落ちぶれたジャーナリストのフェンは、ある日取材先で出会った聾唖の少女がしゃべったのを耳にする。なんと、その少女アリスは聖母マリアの出現を体験し病人を治す力を授かっていたのだ。フェンは独占取材権を得て再起を図り、奇跡を見ようと大勢の人々が詰めかける。だが、それは聖母マリアの御業などではなかった。


予告編

感想



ジェームズ・ハーバートの1983年の小説「奇跡の聖堂」の映画化作品。

元が古いので仕方ないんですが、かなりありがちな内容に感じます。





ソニー配給でしっかりカネをかけているのに「ゴーストライター 密約」とクリソツだなどという怪情報を聞いて鑑賞してみたわけですが、これは…まあさすがに「密約」のような腐臭漂うZ級ジャンクホームビデオと比較するのはかわいそすぎるかなと。ただ、製作資金が「密約」の10万倍はあるはずなのに面白さは1万倍程度しかなく、いまいちコスパがよろしくないとは言えます。



内容は、聖母マリアの奇跡でしゃべれるようになった聾唖の少女アリスが病人を治す力を得て有名になっていくが、実はそれは民衆を騙して信仰を得ようと企む偽マリアの仕業であった…という話。



アリスが聖母マリアの幻影を見たり、あるいは背後にマリアの姿が後光を指して現れたりするのですが、めちゃくちゃ胡散臭くて笑ってしまいます。やっぱりこういうキリスト教系ホラーは敬虔な信者でなければまともに楽しむことは不可能なのでしょう。原作者もカトリックみたいですしね。



アリスが不治の病を治せると聞いて彼女の住む村へ押しかける愚民たちの描写は非常にテンプレート的ではありますが、中には逆に逃げ出す人もいて、「神は本来の居場所(天)にいる方がいい、地上に来ると災いが起こる。旧約聖書の神はすぐ怒るだろ」と語っていたのは印象に残りました。敬虔なキリスト教信者であっても皆が「信じれば救われる」と思っているわけではなく、触らぬ神に祟りなしと考えているやつもいると。



愚民の描写がテンプレ的とは言ったものの、うさんくさい神や宗教団体へと安易に走ってしまう人々が未だ大量に存在することが明らかとなった昨今の社会情勢を鑑みるに、テンプレというよりは普遍的な訓話として捉えるべきかもしれません。まあそういう宗教を信じる人が本作を観たとしても、自身の信仰対象を疑うようなことは無いんでしょうけども。



特にこれといった盛り上がりも見せ場もなくあっさりと終わってしまうのでエンタメホラーとしては物足りなさは否定できませんが、さすがに「密約」に比べれば映像は綺麗だし役者の演技はちゃんとしてるし終わり方もすっきりしてるしでまあまあぼちぼち楽しめました。



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