「レフト 恐怖物件」 感想 人生は耐えがたいものだ

概要

原題:You Should Have Left

製作:2020年アメリカ

発売:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

監督:デヴィッド・コープ

出演:ケビン・ベーコン/アマンダ・セイフライド/エイヴリー・エセックス


裕福な銀行家のテオは年若い女優のスザンナと結婚し、幼い娘エラと3人で暮らしていた。しかしテオはかつて前妻が浴槽で溺死し、世間に疑いの目を向けられた過去を持ち苦しんでいた。彼らはウェールズの貸別荘で休暇を楽しもうとするが、そこで怪奇現象が次々と発生する。


予告編

感想




最近ホラー映画界隈では「事故物件」ものが大流行りのようで…

これもそんな作品の一つですが、いかにも無理のある邦題。単に「レフト」って言われても何のことやら。

主演はケビン・ベーコン。ものすごい久しぶりに観たな、ベーコン。



一回り以上若い妻と幼い娘を連れてウェールズの貸別荘へ羽を伸ばしに来たベーコン。

しかし、そこで次々と謎の怪奇現象に見舞われるのであった。


非常にありがちな導入です。登場人物もえらく少ないしただの単純なお化け屋敷映画か?と思いきや、終盤で急に複雑怪奇なお話に。理解しにくいながらも類似作が思い浮かびますが、ネタバレになりそうなのでタイトルは挙げないでおきます。


怪奇現象の方はそう大したものは全然なく、小奇麗で広くてオシャレだが微妙に居心地の悪い貸別荘の雰囲気と険悪な人間関係で物語を引っ張ってゆくタイプのホラー。


誰も死なんし血もグロも無くこれといった刺激は何もないんですが、不穏な人間ドラマだけでもそこそこ退屈せずに見入ってしまいます。こういうところが劇場公開クオリティのA級映画は違うなあ…とZ級映画に慣れている身としてはしみじみ感心してしまう。まあコロナのせいか本作は実際には劇場公開しなかったみたいですが。


それにしても、序盤中盤と起伏には乏しい展開。前妻を死なせてしまい、未だに世間から冷たい目を向けられ苦しむベーコンとそれを支える妻と娘。かと思いきや妻とは微妙にギスギスした雰囲気を醸し出すベーコン。彼も年を取り気難しい男が似合うようになった感があります。



「人はなぜ死ぬの?」という幼い娘の問いに

「人生は耐えがたいからさ」と陰鬱に答えてしまうベーコン。



全く持って同感だしなかなか印象に残るシーンでしたが、あまり子供向けの回答とは言えません。

んなこと言うなら子供なんか作るなよと。

どうやらこのベーコンは複雑な過去のせいで人生に深く絶望している様子。


そんな精神状態なのに、しっかりイケイケの若くて派手な女優と再婚して子供までこさえているのが私には分からんところです。いくら資産家とはいえうまくいかないんじゃないですかね。まあ、案の定作中では妻とイザコザが起こってしまうわけですが。ただでさえ過去のトラウマで人生に疲れてるのにそのうえ家庭不和と怪奇現象に襲われたベーコンはどうなってしまうのか。そこら辺が見どころというわけですね。全体的に地味だし最後は慌てて畳みすぎなんじゃないかと思いますが、まあぼちぼち楽しめました。


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