「シャークストーム」 感想 人喰いザメが嵐に乗じて住居侵入

概要

原題:SWIM

製作:2021年アメリカ

発売:プライムウェーブ

監督:ジャレッド・コーン

出演:ジョーイ・ローレンス/ジェニファー・フィールド/アンディ・ラウアー/ブレット・ハーグレイブ/ダニエル・グローガン


カリフォルニアの海辺にあるビーチハウスへ遊びにやって来たサムソン一家。だが、到着したその日に強大な嵐が襲来する。サムソン一家は大波で浸水したビーチハウスの中へ閉じ込められたうえ、獰猛なサメにまで襲われてしまう。


予告編

感想





「クロール 凶暴領域」のサメ版劣化コピー。

とはいえさすがに今さらすぎてプライムウェーブもパチモン風にはできなかったようです。

しかしこのジャケ絵のサメ、一体何度使いまわされてるんでしょうね。汎用性が高すぎる。


製作は毎度おなじみアサイラム、監督はそのお抱えクソ映画職人ジャレッド・コーン、そして脚本はシャークネードのアンソニー・C・フェランテ。



ジャレッド・コーンはいつもいつも無個性で味気ないクソ映画ばかり作業的に撮るけど、観るのが苦痛ってほどひどいものもあまりなく、良くも悪くも安定した低空飛行を見せてくれる印象。まあ、先に言ってしまうと本作も完全にそんな感じでした。アサイラムにしてはそんなに悪くはなく、サメ映画としては実に平均的な出来栄え。「ホワイトシャーク 海底の白い死神」あたりと同じようなもんかなと。



アンソニー・C・フェランテはシャークネードシリーズであれだけハイテンションに傑作を連発していたのに、それ以降はどうも大人しすぎる気がします。「ゾンビ津波」でディザスター要素は残しつつもサメからは脱却するのかと思いきや、またしても嵐×サメの二番煎じとは。しかも、本作のサメは特に何の変哲もない普通のサメでひねりもお笑い要素も何もなし。急にマジメになっちゃってどうしたの?頭でも打ったの?と心配になってきます。



そもそも嵐が来る日だと分かってるのにわざわざ海辺のビーチハウスへ遊びに来るなよとかその手の細かいツッコミどころは無数にあるものの、基本的には全編シリアスな雰囲気。登場人物はみんな善良な常識人ばかりでうざったい仲間割れや罵り合いなどは無く、その点は非常にストレスなく鑑賞することが出来てありがたいです。その分、誰も印象に残らないという欠点もありますが。やっぱ小悪党の1人くらいはほしいかな。アンソニー・C・フェランテは「家族の絆」を描くのが好きみたいですね。



出てくるサメは一匹だけでサイズも小さめなので、そんなに何人も喰ったらすぐ腹いっぱいになってどこかへ去るのでは?などと思ってしまいますが、まあサメ映画においてその程度のツッコミどころしかないサメというのも実は稀です。どうせならハンマーシャークとかゴブリンシャークにするとか、サメ映画として個性のつけようはいくらでもあるのではないかと思うのですが、本作で印象に残ったのは異常に地味でショボイ決着の付け方のみ。あれはなんかもう一周回って渋すぎて逆に通っぽくさえある。まあ、極めて無難で微妙な作品だけにそういう細部にワビサビを感じ取れるマニア向けのサメ映画ではないかと思いました。


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