「ゾンビ津波」 感想 津波はただの運搬係

概要

原題:ZOMBIE TIDAL WAVE

製作:2019年アメリカ

発売:トランスフォーマー

監督:アンソニー・C・フェランテ

出演:アイアン・ジーリング/エリック・チカシ・リンズビクラー/シェルトン・ジョリヴェット/チェリー・キャシディ/テイタム・チニキー


海に出て船釣りを楽しんでいたハンターたち。だが、釣り針にかかったのは魚ではなくゾンビだった。海底から青いゾンビが湧いてくるのを目撃したハンターたちは、引き返して街にゾンビの襲来を警告する。しかし、背後には無数のゾンビを内包した大津波が迫っていた…。


予告編

感想




「シャークネード」シリーズのアンソニー・C・フェランテ監督&アイアン・ジーリングコンビによる新作ゾンビ映画。彼らの実績が実績なのですごく期待していたのですが、存外フツーのB級ゾンビ映画でした。



「サメ×台風(竜巻)」の次は「ゾンビ×津波」


めちゃくちゃ安直ですが、B級ホラー的にはそれほど悪くない発想ではあると思います。ただ、シャークネードは常にサメと竜巻の合体モンスターとして襲ってきたのに対し、本作は単にゾンビが津波で運ばれてくるだけなのが少々物足りない。ゾンビ津波が押し寄せてくるのは序盤の1回か2回だけ。さすがにそのシーンはバカバカしくも斬新な映像でテンションが上がるのですが、それ以降は普通にゾンビと戦うだけの至極ノーマルなゾンビ映画と化してしまうんですよね。ゾンビと津波を切り離しちゃあいけないと思うんですよ。



これだったら二番煎じと言われようが「ゾンビネード」の方がまだ良かった。いや、もうゾンビ×サメ×竜巻で「ゾンビシャークネード」の方がより良いかな。トルネードじゃワンパターンだと言うなら、ただの「ゾンビシャーク」でもいいよ。いや、それはもう既にあったか…。




まあ、本作は完全なオリジナル作品ではなくTVドラマ「Zネーション」シーズン1の第8話が元ネタになっているらしいので、それと何かしら繋がりがあるのかもしれませんが。



キャラクターも何だか薄味で、アイアン・ジーリング演じるハンターにしても特に際立った個性があるわけでもないので正直今でもフィン・シェパードにしか見えません。相変わらず頼れるヒーロー感は健在なものの、ゾンビごときに苦戦しちゃうなんてフィンにしてはひ弱すぎてかなりの違和感がありました。吹替担当も変わっちゃってますしね。ただ、飛び後ろ回し蹴りまで繰り出すハッスルぶりには驚きましたが。本気でアクション俳優としてのトレーニングを積んでいるんだなあと感心。



てっきりまたコメディ寄りの作品かと思ってたんですが、笑いどころはほとんどなく、どちらかと言えばシリアス。唯一笑えたのは「庭に肥料をまいた。いいバラが咲くぜ」「バラ肉って感じだけどな」っていうやりとりくらいですかね。波に乗ってきたゾンビ相手に真面目にサバイバルされてもちょっと困惑しますよ。もっとふざけてもらわないと。とはいえ、アイアン・ジーリングがまたチェーンソーを振り回したりしたらそれこそ「いつまでシャークネードネタに頼ってるんだ?」とか言われかねないのかな。別に頼ってもいいと思うんですがね。というかいっそ「シン・シャークネード」とか作ってくれても私は一向に構わんのですが。



しかしそう考えるとシャークネードで宇宙でサメと戦ったり、世界を滅ぼしたり、時間を超えたりとやりたい放題やり尽くしたのは良くなかったかもしれません。もうあんまり使えるネタが残っていないんでしょう。だからこういう必要以上に真っ当なゾンビ映画になってしまったのではないかと。やっぱりサメ映画を超えられるのはサメ映画しかありませんよ。ということで、アンソニー・C・フェランテ&アイアン・ジーリングにはまたサメ映画を作ってほしいなと思いました。



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