「クレイジー・ワールド」 感想 アフリカン・カンフー・児童誘拐

概要

原題:Crazy World

製作:2019年ウガンダ

配給:ツイン

監督:ナブワナIGG

出演:ワカリウッドのゆかいな仲間たち


あらすじ:コールオブデューティ ウガンダ編


予告編

感想





途方もなくヘンなものを観てしまった…


アフリカ映画といえばまずガーナの「アフリカン・カンフー・ナチス」が思い浮かぶというかそれしか知らないのですが、今度はウガンダ映画です。ガーナはまだチョコレートのイメージがありますが、ウガンダといえば…なんでしょうね。ウガンダ内戦ぐらいしか思い浮かばない。



本作の内容は、呪術の生贄のため?タイガーマフィアに誘拐された子供たちがカンフーで暴れて逃げ出すというもの(多分)。なんかもうカオスすぎてよくわからない。クレイジーにもほどがある。つーかまたアフリカン・カンフーですよ。アフリカ人は本当にカンフー映画が好きなんだな。テーマは重たいけどもノリは軽いコメディで、私が邦題を付けるなら「アフリカン・カンフー・児童誘拐」にしちゃうかもしれません。



アフカンナチスもとんでもなくぶっとんだ映画でしたが、本作は比べ物にならないほど激しくアフリカン・スピリットが爆裂しています。なんせアフカンナチスはドイツ人監督だし日本人も関わっていたわけで、そのぶん今考えると充分理性的かつ常識的でした。しかし本作は純正のウガンダ映画。原始的というか根源的な映画への情熱が素のままに伝わってきます。映画とは何をやってもいいんだ、自由な精神のままに滾る映画愛をぶちかませばいいだけなんだ!と言われながらぶん殴られているかのようです。何かもうこれほどまでに観客をぶっちぎった映像作品は史上初なのではないでしょうか。



映画愛が強いだけに海賊版への憎しみも人一倍強いようで、本編の合間に海賊版を取り締まる寸劇をねじ込んでくるからたまらない。ただでさえカオスすぎてわけわからんのに一体何をやっているのか。ただただやりたい放題やっているだけで、常識や文法などどこにもない。いや、そんなもんいらんのだ!むしろ邪魔なんだ!!という気さえしてきます。ウガンダ映画の自由奔放振りには驚かされるばかりです。



しかもこれ監督?による副音声解説がデフォルトでオンになっており、常時何やかんやしゃべっています。そのわりに全体的に何の話をしているんだか理解しにくい…っていうか解説と言っていいのかどうか。一部抜粋するとこのような感じですが。



「コールオブデューティ ウガンダ編

スーパーマフィア!

スーパーキック!

ウガンダ忍者・スーパーフランク!

ここはウォルマート 彼のスーパーだ

スーパーコマンド!本物のアクションが始まるぞ!

スーパータフ!スーパーアクション!

ヴァンダムだ!

ヴァンダメージ!

ウガンダメージ!

ラスボスだ!スーパーパンチ!!

スーパーコンボ!プレイヤー2が参戦!!」



…とまあかなりふざけている映画のように見えるかもしれませんが、テーマとしては


「子どもと一緒に

児童誘拐と戦おう!」


という極めてシリアスなものであり、エンドクレジット中にも衝撃的すぎる事実が当たり前のようにサラッと紹介されたりと、決して笑いっぱなしでは済まされず真顔になってしまう要素がある社会派的な(?)作品でもありました。


コメント