「ファイナル・ジャッジメント(2020)」 感想 結局お前かよっていう虚しさ

概要

原題:DON'T LOOK BACK/Good Samaritan

製作:2020年アメリカ

発売:アミューズソフト

監督:ジェフリー・レディック

出演:コートニー・ベル/スカイラー・ハート/ウィル・スタウト/ジェレミー・ホルム


強盗に父親を殺されたばかりのケイトリンは、公園をジョギング中に見知らぬ男が暴行を受けている現場を目撃する。彼女を含め数人の男女がその場にいたが、誰一人助けに入ることが出来ず、被害者の慈善家は亡くなってしまう。ケイトリンは罪悪感から被害者の亡霊を視るようになり、さらに目撃者が一人また一人と殺されていく。

 

予告編

感想





「ファイナル・デスティネーション」の脚本家による新作とのこと。


2012年の幸福の科学映画とは全く何の関係もありません。しかし邦題付ける人も1回ぐらいググって他とかぶってないかどうか確認してほしいもんですな。まあこの出来ではやっつけ仕事になっても仕方ないけど…



内容は、暴漢に襲われていた人を傍観していただけで助けなかった男女数人が何者かに一人ずつ殺されていくというもの。あのシリーズと違って死に様で魅せるというスプラッタ要素は皆無で、かなり淡泊な印象です。



「ファイナル・デスティネーション」では飛行機事故からうっかり逃れてしまった人たちが死の運命そのものに修正されていく話だったので、本作もそんな感じで神がかり的な何かが襲ってくる話なんだろうなと思って観ていました。主人公ケイトリンたちも被害者ダグラスの亡霊を視ているし、事あるごとに思わせぶりなカラスが見つめてくるし、カルマがどうのこうのとルカの福音書がうんたらかんたらとやたらオカルト方面に傾倒していきます。



しかしオカルト以前に被害者ダグラスの弟が「何もしなかった傍観者たち」を激しく憎んでおり、わざわざテレビ出演して一人一人名前を挙げて糾弾するというとんでもない行為に出てしまいます。いくらなんでもこれはあり得ないでしょう。テレビ局のコンプライアンス的にも大炎上間違いなし。





以下ネタバレあり






というか、ケイトリンたちを一人ずつ殺害しているのは超常的な何かではなくて普通にダグラスの弟なのでは? と容易に予想がついてしまいます。普通誰でもそう思いますよね。警察がまず弟を疑わない理由が分からない。



でもそんなんじゃあまりにもひねりがなさすぎるしやっぱり違うのかな…と思いきや、本当にそうだったと判明した時は開いた口がふさがりませんでした。今まで散々思わせぶりに演出してきたオカルト要素は全部ただの煙幕ですよ。いや手法自体はよくあるものなんだけど、これで視聴者をミスリードできると思っている作り手に腹が立ってきます。どんでん返しというよりちゃぶ台返しという言葉が似合う酷さ。



しかもそれだけでは終わらず、さらにしょうもなさすぎる真相が待ち受けているものの、別に伏線とか何もないしナンセンスにもほどがある。一応ケイトリンが己の罪悪感と真面目に向き合って克服していこうとする姿勢だけはわりとちゃんとしてたのでその辺だけはまあ悪くなかったんですが、それだけだった。ヒューマンドラマにでもすればよかったのに。キリスト教的には色々含意があったのだろうとは思うものの、これでは救いようがない。無神論者からすると視聴者をあんまりバカにしないでよねと怒りたくなる駄作でした。



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