「ゲーム・オブ・デス」 感想 かわいすぎるマナティ

概要

原題:Game of Death

製作:2020年フランス・カナダ・アメリカ

発売:「ゲーム・オブ・デス」フィルムパートナーズ

監督:セバスチャン・ランドリー&ローレンス・モライス・ラガース

出演:サム・アール/ビクトリア・ダイアモンド/エメリア・ヘルマン/キャサリン・セインドン/エルニエル・バエズ・デュエナス/トーマス・バリエール


羽目を外して遊び惚ける8人の若者グループ。ふとしたことから見つけた古いボードゲームで遊ぼうとすると指から血を吸い取られ、画面には「24」と表示される。それは参加者を含めて24人を殺害すれば勝ちというデスゲームだった。


予告編

感想





バカな若者たちが死のボードゲームに巻き込まれるスプラッターホラー。まあボードゲームと言っても別にゲーム性も駆け引きも何もなくてただひたすら人を殺しまくればいいだけの単純な話ですが。レトロゲーム的な演出はかなりイカしてます。



このゲーム、参加者が8人しかいないのに合計24人も殺せ!などと相当な無茶ぶりをかましてきます。しかも制限時間がかなり短い。仮に最後に生き残るのが1人だとしても、その辺の無関係の人を手当たり次第に17人も殺さないといけません。これはたとえ見事勝利して生き残ったとしても、確実に死刑になってしまう気がします。それともフランスやカナダやアメリカの一部の州なら死刑制度がないから大丈夫なのか?



参加者の制限時間が切れると、顔がパンパンに膨らんでスキャナーズのようにド派手に爆裂してしまいます。低予算っぽいわりにそこはものすごく気合が入っており、しかも何度も爆裂するのでかなり見ごたえがある。今年一番血の気が多いスプラッターだったかも。他にも車で轢いただけなのに真っ二つになる場面なども派手にやりすぎで笑いを誘います。



バカな若者たちとはいえ、無関係の人を殺すのはだめだ!という程度の正義感を持つグループもいて、積極的に他人を殺していこうとするグループと対立。…するのはいいんですが、結局殺さないでいると頭が爆裂することの対策が何もないので、一見正義感ぶってる方も何やかんや人を殺めていく。どっちもどっちです。仲間を殺すために「暴走を止める」という大義が必要だっただけなのか。




そんな面倒なテーマが含まれた映画ではないと思うんですが、なぜか本作に出てくる人は大体テレビでマナティのドキュメンタリー番組を観ているという共通点があります。殺戮の合間合間に可愛いマナティの生態を見せてくれる意味とは一体何なのか。相当珍奇な趣向です。無軌道な若者に殺される無辜の民をこの警戒心がなく温和な動物に喩えているってことでしょうか?




それとも単にカレーに添えられた福神漬けのように「グロに飽きたらその都度マナティのかわいさでリフレッシュしてね」という意味なのか。イヌとかネコでなくマナティっていうマニアックさに深読みしたくなりますが、たぶん後者なんじゃないかと思います。ということで、意外と細やかな気配りが効いた良いスプラッター映画でした。

コメント