「Mr.ノーバディ」 感想 狂気のネコちゃんブレス返せおじさん現る

概要

原題:Nobody

製作:2021年アメリカ

発売:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン

監督:イリヤ・ナイシュラー

出演:ボブ・オデンカーク/コニー・ニールセン/RZA/マイケル・アイアンサイド/クリストファー・ロイド


毎日自宅と職場を往復し、家族にも特に尊敬されていない冴えない中年男のハッチ。ある日押し込み強盗に入られ、大事には至らなかったものの、立ち向かえずに逃がしてしまったことで息子からも蔑まれてしまう。だが、飼いネコのブレスレットが盗まれていたことを知ったハッチは突然ブチ切れ、強盗の自宅を突き止めて殴り込み、さらに帰り道でたまたま出会ったチンピラ軍団を半殺しの目に遭わせる。


予告編

感想





なめてたオッサンが実は強かった系アクションの最新型。なめてたと言いつつリーアム・ニーソンだったりキアヌ・リーブスだったり何だかんだデカくて強そうなオーラを持った人が主役になりがちなジャンルですが、この映画はそこが違う。本作の主役ボブ・オデンカークはドラマの「ブレイキング・バッド」「ベター・コール・ソウル」で馴染みのある俳優さんなんですが、何をどう見ても強そうな雰囲気など全くありません。この人がアクション映画の主役を張るということがとても意外。見た目は完全にどこにでもいる、その辺でおでん喰ってくだを巻いてそうな普通のおじさんなんです。普段蔑まれがちな「おじさん」のための純然たるおじさん映画というわけですな。



そんな冴えないおじさん代表ことおでんカーク演じるハッチが、飼いネコのブレスレットを盗まれたことでブチ切れて暴れまくってるうちにロシアンマフィアと戦争になってしまう…という実に痛快無比なストーリー。しかしなんでネコのブレスレットごときであれほどまでにキレ散らかさなくてはならなかったのか。確実にネコもそんなもんどうでもいいと思ってると思うんですよ。つーかそもそもブレスレットつけてるオシャレネコなんて見たことないんですが、嫌がらないもんですかね。



そんなアホらしい切っ掛けなので、結局暴れられるなら何でもよかったのだと考えられます。世の中のおじさんはストレスまみれなので常に暴発寸前、一触即発の危険な状態にあるのだというわけですね。まあ、わかります。その辺も含めて「ハッチの正体とは!?」という謎を徐々に明かしていく趣向。それ自体はまあまあ目新しいけども、結局正体なんてどうせ政府機関の元エージェントか何かなんでしょ…という「いつもの」感は拭えずあまり関心は持てない。



そういうんじゃなくて、例えば「フォーリング・ダウン」みたいに本当にただのオッサンだった方がもっと面白いのに、とは思う。強さの説得力とかそんなに気にしなくてもいいからさ。ハッチもジョギングと懸垂で鍛えてたし、あとは莫大なストレスから生じた謎パワーってことで何とかなりますよ。銃火器の扱いは置いといて。



敵対するロシアンマフィアについてですが、年金を管理している奴らだったことに何か世知辛さを感じてしまいましたね。まさかロシアンマフィアにまで年金基金があるなんて思わないじゃないですか。定年退職したら年金で悠々自適だぜとか考えて堅実に積み立ててるマフィアってのも何だかイヤだなあ。



そんな変な人たちが全力で激突するアクションシーンそのものは爽快感満点で非常に楽しめました。クライマックスでハッチの父親役のクリストファー・ロイドまでもが「やっぱコロシは最高だぜぐへへ」みたいな感じで参戦してたのには笑いを禁じ得ない。BTTFの時点で既にジジイに見えてたのに40年後の今もまだ現役なんだから恐れ入りますよ。

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