「ロックダウン・ホテル 死・霊・感・染」 感想 逃げ場のない虚無ホテル

概要

原題:HALL

製作:2020年カナダ

発売:アルバトロス

監督:ランチェスコ・ジャンニーニ

出演:カロライナ・バルトチャク/釈由美子/マーク・ギブソン/ベイリー・タイ/ジュリアン・リッチングス


仕事も兼ねて日本からやってきた臨月間近の妊婦ナオミは運悪く、そのホテルに宿泊していた。やがて、彼女の身体に異変が現われ始める…。 逃げ場のない地獄と化したホテルでは、想像を絶する心霊現象までが多発する。果たして宿泊客たちは、生き残ることができるのか…!? 

(↑アルバトロスHPより)

予告編

感想




7月に旭川でも劇場公開していたので観に行こうかと悩んだんですが、その時は忙しくてスルーしてしまった作品。



とはいえこれはスルーしておいて正解だったかもしれません。

これをわざわざ劇場で鑑賞しても、おそらく30分とかからず意識不明の重体に陥っていたことでしょう。いくら地雷処理が趣味でもそれは厳しい。それに本作に1800円も出すくらいなら「セミマゲドン」のDVDでも購入した方が遥かに有意義なカネの使い方と言えます。つーかレンタル料金440円でも正直痛い。



内容は、カナダのどっかのホテルで正体不明の殺人ウイルスが蔓延し、宿泊客が廊下で苦しみまくるというもの。それ以上でもそれ以下でもなく、本当にただそれだけ。しいていえばモラハラ夫から逃げようとしてる母娘とか、モラハラ夫から逃げて来た妊婦のドラマがほんのちょびっとあるくらい。一応ちゃんとしたホラー映画っぽい雰囲気だけは漂っているものの、この展開の乏しさは下手すると「ロスト・ジョーズ」並みに虚無的です。



どうしてこれが全国津々浦々の劇場で公開されるに至ってしまったのか。どうも釈由美子氏という有名な日本人が出演しているからのようです。”釈由美子、世界進出第一弾!!”とまで銘打たれています。確かに彼女が廊下でウンウン唸りながら苦しみまくる演技はなかなか真に迫っており、それ自体は見る人が見れば高評価に値するものかもしれません。



しかしそれ以上なんかするわけでもなくただただ延々苦しんだ揚げ句、同じく廊下で苦しんでたオッサンにいきなり喉をちぎられて雑に殺処分されてオワリっていうね。これで世界進出第一弾とか言われても釈由美子ファンたちも困惑するしかないのではないか。そもそも感染すると苦しくてろくに身動きもとれなくなるような病状なのに、なんで急にそんな暴力性を発揮する患者がいたのでしょうか。と言ってもそんなのはその1回きりだし、その後も当然のように何の説明もなく、全く持って何も分からぬ。



ついでに「死・霊・感・染」なんて言っちゃってるけどこれウイルスばら撒きバイオテロのようだし、死霊なんて影も形もないよなあ?…と思ってたら、一応モラハラ夫の亡霊というか幻覚っぽいのが出てくることは出てくる。が、別に襲ってくるわけではないし、死霊なんて結局そいつだけ。それとも釈さんの母も死霊にカウントすべき?



まあサメ映画に出てくるサメも大体そんなもんだったりするからアレだけど、これを「襲い掛かる亡霊たち」「想像を絶する心霊現象が多発」なんて煽って劇場公開したとか神をも恐れぬ配給会社があったもんだなあ…と感心してたら「食人雪男」のトカナでした。世の中にはまだまだヤバイ配給会社がありますね。今週金曜から公開予定のトカナ配給作「ドーン・オブ・ザ・ビースト 魔獣の森」が実に楽しみですよ…


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