「シン・宇宙戦争」 感想 まるで工業製品のような画一的味わい

概要

原題:2021 WAR OF THE WORLDS

製作:2021年アメリカ

発売:プライムウェーブ

監督:マリオ・N・ボナシン

出演:トム・サイズモア/エミリー・キリアン/アンソニー・ジェンセン/マイケル・デボーゾン/エマ・ナスフェル


天文学者のアリソンは、火星で発生した異変を知る。地中から巨大な飛行物体が出現、地球に向かっているのだ。UFOの編隊は、ニューヨークに飛来。内部から現れた三足歩行兵器《トライポッド》の攻撃で、アメリカは大パニックに陥った。侵略者と米軍の激戦が続く中、アリソンは敵の研究を続け、恐るべき事態を知る。ヤツらは自分たちが移住できるよう、地球の大気を火星と同じ成分に変えようとしている。そしてそれは、人類の死滅を意味するのだ……。

(↑プライムウェーブHPより)


予告編

感想





アサイラム版宇宙戦争。

原題は「2021 WAR OF THE WORLDS」なのでいつものプライムウェーブなら絶対そのまま「宇宙戦争2021」という邦題を付けてたはずですが、今回は「シン・宇宙戦争」ときた。



最近わが国では「シン・仮面ライダー」だのなんだのが話題となっており、その影響でレンタル業界でも第二次シン・パチモンブームが起きそうな流れですね。というかこの「シン」ってどういう意味が込められているのか知りませんが。「新」とか「真」じゃ安っぽいからカタカナにしたんですかね。しかしこういうパチモンって案外騙される人が多いので、庵野ブランドが毀損されてしまいそうで結構な迷惑行為なんじゃないでしょうか。私にとってはどうでもいいことですが。



それはさておき内容ですが、これがまたいつも通りのアサイラム映画すぎてほとんど何も特筆すべきところがない。一応本家「宇宙戦争」をあまりひねらず再映画化しているので、アサイラム的トンデモは控えめ。トライポッドの出来はいつになく良いが、出番が激少ない。スペクタクルな見せ場は予告編でほぼ全て使い切ってる。予告編さえそれっぽく作れて一人でも多く騙せればヨシ、というアサイラムの基本理念がしっかり守られております。



主人公はいつも火星を見ている天文学者のアリソン。天文台にいるのは彼女と兄貴の二人だけで、火星人襲来の報を受けてそこにやってくる軍人も二人だけ。いっちょまえにポリコレを気にして毎回女性科学者or軍人が主役。しかもまた将軍役はトム・サイズモアです。そして地球規模の戦いなのに少数精鋭すぎて全然そう見えない。アサイラムにはもういい加減「軍人と科学者たちを主役にするのはやめてくれ…」とお願いしたい。



だってもう最近のアサイラム映画は本当に毎度毎度同じパターンの繰り返しなんですよね。まるで大量生産の工業製品のような画一的味わいに感じてきます。実際そういう作り方をしていると思う。とにかく軍人と科学者がどうでもいい理屈をベラベラベラベラしゃべりまくって勝手に盛り上がっているシーンばかりが多すぎる。今回は「奴らはオゾン層を破壊やら何やらして地球を火星化しようとしてるんだ!」という理屈で、これは一応いつものよりは筋が通っているように思えて多少はましでしたが、それも結局予告編やあらすじ紹介でバラしてるし別に何の驚きも新味もない。



これならスピルバーグ版宇宙戦争みたいに市井の人を主役にしてただただ逃げ惑う様を見せてくれた方がよっぽどましだと思います。最近のアサイラムは悪い意味での安定感がありすぎる。もう製造工場を建設しちゃったから元をとるまで同じものを大量生産するぞ~という負の意気込みしか感じません。とにかくもう軍人と科学者連中がパソコン置いてあるだけのショボイ指令室でそれっぽくすったもんだしてる絵面はもう完全に見飽きてしまいました。逆に言えば、最近のアサイラム作品をあまり追ってない人であれば楽しむ余地がある…かもしれません。

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