「クイーン・イン・ザ・ミラー 女王の召喚」 感想 機嫌が良ければ助かるのに

概要

原題:QUEEN OF SPADES

製作:2021年カナダ

発売:プルーク

監督:パトリック・ホワイト

出演:エイヴァ・プレストン/ケーレン・オーム/ダニエル・カッシュ


13歳の少女アナは、同じマンションに住む友人からロシアに伝わる「スペードの女王」という怪談のことを聞く。それは口紅で扉の絵を描いた鏡の前で「スペードの女王、姿を見せて」と3回唱えるとスペードの女王が現れ、機嫌が良ければ願いを叶えてくれるがそうでないと殺されるというものだった。アナたちがそれを試すと、友人の一人が心臓発作で亡くなってしまう。


予告編

感想





キャンディマンに続いて、また鏡の前でその名を3回唱えるとどこぞの女王様が殺しにやってくる都市伝説系ホラー。元ネタはロシア産とのこと。前半はキャンディマン系で後半はエクソシスト調に転換する等のひねりは一応あるものの、全体的に既存作品の寄せ集め風でいまいちオリジナリティに欠けており薄味。マニアにはどうも物足りない。



鏡を使って呼び出すと女王様が殺しに来る…と言っても100%殺されると決まったわけではなく、女王様のご機嫌がイイ時は逆に願いを叶えてくれるらしいです。無個性で既視感漂うこの作品中で唯一尖らせることができそうなおいしいポイントだと思うんですが、襲ってくる鏡の女王はどう見てもただの理性なき怨霊であり、機嫌の善し悪しもくそもなさそうです。これが本当にもったいない。



女王召喚の儀式をやってしまうのは主人公アナを含めて4人ですが、彼女らを皆殺しにしようとただただ何の芸もなく脅かしながら襲ってくる怨霊を見せられても本当に既視感しかなく退屈です。一人くらいは機嫌のイイ時の姿を見せて願いを叶えてくれる展開にした方が絶対に楽しいドラマが生まれると思うんですよ。「なんでお前だけ殺されずにいい思いしてるんだよ!」と仲間割れが始まるかもしれないし、「女王様の機嫌をとるためにはどうすればいいんだろう?」と除霊とはまた違ったアプローチの仕方が生まれていたかもしれません。



しかし、仲間の一人が心臓発作で死んでからはもう女王様のご機嫌など誰も気にしておらず、ただただ恐れおののきながら除霊に走るのみ。一応専門家と連絡が取れた後にトランシーバーで女王様と交信を試みるくだりはありましたが、やっぱりただの怨霊なので結局まともに答えてくれませんでしたしね。アナたちも嫌がる専門家に「お願いだから!お願いだから!」と強引に頼み込んで何度断られてもしつこくあきらめず、専門家の家に不法侵入までしたうえなぜかスタンガンで攻撃してしまう身勝手さは見ていて結構腹立たしい。また、妖怪アンテナ代わりに使っていたカナリアが死んでしまうシーンも鳥好きにはかなり胸糞悪く、平凡なわりには不快指数が高いなあと感じる作品でした。



追記


リメイク元は「ミラーズ/呪怨鏡」だとTwitterで教えてもらいました。続編もあると聞いたので調べてみたら「スペルズ/呪文」のことだったんですね…。すでに観ていたのに全然気づかなかった。続編の方はスペードの女王が機嫌よくみんなの願いを叶えてくれるのでそっちの方がだいぶ面白みがあったなと思います。


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