「ファイナルストーム」 感想 黒色の堕天使が血肉を求め牙を剥く

概要

原題:SWARMED

製作:2004年カナダ

発売:タキコーポレーション

監督:ポール・ジラー

出演:マイケル・シャンク/キャロル・アルト/ティム・トマーソン


スズメバチ用殺虫剤を開発している研究所で、清掃員がスズメバチに刺されて死亡する事件が起こる。その新型殺虫剤はスズメバチを強毒化させる作用を持っていたのだ。出入りの害虫駆除業者がそれを持ち出して使ってしまい、街に殺人スズメバチの群れが解き放たれてしまう。そして町では折り悪く全米ハンバーガー・コンテストの開催を控え、肉好きの観光客で賑わっていた…


予告編

感想



2004年製のテレビ映画が今さらプライムで無料になっていたので見てみました。2007年にレンタル開始しているのでその当時に観たような気がしないでもないけど、仮にそうだとしても覚えているわけがないので問題はありません。



これ、DVDの宣伝文句が本編よりおもしろいのでちょっと引用します。





(前略)根強い人気の天災パニック映画とのコーナー展開をすることで、店頭が更に盛り上がること、間違いナシ!(中略)全米が熱狂の渦に包まれた
天より舞い降りる神の怒り。ヨハネの黙示録に記された"七つの災い"が現代に蘇る!自然を支配するために開発された劇薬が、最も凶悪なスズメバチをさらに凶暴化させ、殺人蜂を生み出してしまう。血肉を求め人類に牙をむいた黒色の堕天使は、一つの街を全滅させるだけの力をもってしまい、欺き、欲深く、不信心な罪深き人間にその鋭利な剣を降りおろしていく。目を刳り貫き、その身体に毒性の腫れものをのこし、苦しみもだえながら死んでいく人間ども。そして、世界がその終末を迎えるとき、神は一体、我々に何を与えたまうのか?

(↑アマゾン商品説明より)


とんでもなく大袈裟な説明文なんですが、実際はどっかの田舎町だけの話だし、ハチに殺されるのもたった5人ぐらいなんですよね。神とかヨハネとか全く何の関係もないし、「世界の終末」どころか「街が全滅」にも程遠い些細な被害でしかない。殺虫剤のことを「自然を支配するために開発された劇薬」、スズメバチのことは「黒色の堕天使」ときた……何という楽しそうな仕事ぶりなのか。私も社内SEだなんてつまんない職種ではなく配給会社に入ってB級映画を宣伝する係に入れてもらえばよかったと後悔しております。つーかプライムビデオ版のジャケ絵でも「人類史上最悪の惨劇を描く」って…5人しか死んでないのに。



それはそれとして、監督はみんな大好きポール・ジラー。彼の作品は「スネークヘッドテラー」「ジュラシック・レイク」「アルマゲドン2009」「イエティ」なんかがとても面白かったですね。しかし最近めっきり彼の名を目にしなくなったなあと思って調べてみたら、何といつの間にか恋愛映画監督業に鞍替えしてしまったようです。あんだけ似たような下らないバカパニック映画を量産しまくってイヤになったのでしょうが、なぜよりによって恋愛なのか。



本作はそんな彼の全盛期の作品なわけですが、話の流れが「ジョーズ」後のアニマルパニックのテンプレそのまんまでえらく没個性的。「全米ハンバーガーコンテスト」なる町おこしのお祭り直前に殺人蜂が発生し、専門家が祭りの中止を進言するも欲深い町長たち権力者が聞き入れなくて大パニック…っていう。1976年から2010年頃までの長きにわたり、こんな感じの驚くほど芸のない類似作が異常に乱発されていました。最近はさすがに見なくなりましたがね。



それでも何とか本作ならではの特色を見出すとすると、スズメバチといいながら画面に映るのは体長2センチもない貧弱なハチであることでしょう。どう見てもスズメバチではなくアシナガバチかなんかの雑魚ではないか。そんなのが1匹だけ町長室に出たからってライフルを乱射する秘書の姿には生暖かい視線を送らざるを得ない。このハチは生肉が好きという設定なので町長の昼飯に引き寄せられていたのですが、ラムの生肉を喰らう町長も相当ワイルドですね。ハンバーガーコンテストに社運を賭けたソース会社の社長といい賄賂を求める署長といい、あまりにもステレオタイプな私利私欲にまみれた汚い大人たちの姿に、古き良きアメリカを懐かしませてもらいました(カナダ映画だけど)

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