「コズミック・シン」 感想 この映画を産み出したことが宇宙の罪

概要

原題:Cosmic Sin

製作:2021年アメリカ

発売:ハピネット

監督:エドワード・ドライク

出演:フランク・グリロ/ブルース・ウィリス/トーマス・リー


西暦2524年、人類は宇宙に進出していた。地球から数千光年離れたとある惑星で、高度な文明を持つエイリアンとのファースト・コンタクト事案が発生する。人類が入植した惑星エローラも侵攻され、危機的状況に陥っていた。人類は宇宙戦争を回避するため、かつての戦争の英雄を呼び戻し精鋭チームをエローラに送り込む。


予告編

感想




「ブルース・ウィリス vs エイリアン」なSF映画ってことでやけに既視感があるなと思ったら「アンチ・ライフ」の脚本家による新作でした。世間では強盗殺人でも犯したのかと思えるほどクソミソのボロカスにけなされまくった「アンチ・ライフ」でしたが、私は結構楽しめてしまったクチなので本作にもそこそこ期待してまして、レンタル料金990円という法外な高値にもめげず再生ボタンを押してしまったわけですが…



これは昨日の「食人雪男」が傑作だったように思えてくるほど面白くない。良いところなど何一つなくダメなところを挙げたらキリがなさそう。なんで990円も支払ってこんな苦痛を味わわされているのか。というか本当になんで990円もするんだ。せめて500円にしてくれ。今年観たSF映画で言えば「スペース・フォース 対エイリアン特殊部隊」とどっこいどっこいのひどさなんじゃないかと。ブルース・ウィリスは一体誰を人質に取られてこれに出演しているのか。海外ではブルース・ウィリスのニコラスケイジ化が進んでるとか言われてますが、本作に比べたら「アースフォール JIUJITSU」の方がまだ全然イケてる部類ですよ。



まず気になるのは本作が「西暦2524年」という遥か未来の世界を描いているにも関わらず、人々の生活が現代とまるで変わらないように見えることです。「アンチ・ライフ」でも同様の問題点はありましたが、あっちは宇宙船という閉鎖空間の中だけで展開する話だったので貧乏臭くてもなんとか致命傷で済んでいました。しかし本作は単純なバトル物ではなく宇宙戦争を回避するために政治的なあれこれも含めてなんやかんやする話なのでもう映像作品として成立してないレベル。もし本気で楽しもうとするなら脳内変換スキルは必須となります。



そういったビジュアル面での難に加え、キャラクターにも魅力が何もなくどうでもよくなってしまう。ブルース・ウィリスですらどうでもよく見えるし他の人はモブでしかない。エイリアンとの戦闘シーンもほとんどないし、あっても倉庫とか雑木林で銃をバンバン撃ってるだけ。「26世紀にもなって火薬の銃なんか使うなよ…」等、その類のツッコミは常時入れられる状態。マーク・ポロニアの「猿の帝国 女囚戦記」ですらビーム撃ってたよ。本作ではそれどころかガソリンエンジン車もバリバリ走ってます。エイリアン側はというとフード姿に刃物装備となぜかアサシンクリードみたいな感じ。人間を乗っ取ったりゾンビ化させたりもできるけど、弱い。こうなるといかにもSFっぽい専門用語を散りばめたストーリーが全然頭に入ってこなくなり、画面を眺めるのがつらくなるばかり。



大駄作と名高い「アンチ・ライフ」と比べてもこちらの方が圧倒的に酷いと思いますが、これは多分脚本家が監督を務めてしまったからなんでしょうね。次にエドワード・ドライクの名を見かけたらブレット・ケリーの新作でも観るような心構えで向き合うようにしようと思います。

コメント