「ブラック・イースター」 感想 タイムマシンで神殺し

概要

原題:BLACK EASTER

製作:2021年アメリカ

発売:アマゾンプライムビデオ

監督:ジム・キャロル

出演:ジェイソン・カストロ/ハイディ・モンタグ/ドニー・ボアズ


若き天才科学者のラムと仲間たちは物質転送装置の開発中にタイムトラベルを発生させ、タイムマシンを作ってしまう。だがラボの出資者であるアフメドたちはラムたちからマシンを奪い、西暦33年へタイムトラベルしてキリストを殺害。彼らはイスラム過激派であった…


予告編

感想



アマプラ配信の宗教系SF映画。

そこそこカネがかかっていそうなシーンもいちおう散見されますが、基本かなり安っぽいので多分自主制作映画かと思われます。そのわりに尺が1時間53分もあってけっこうキツイ。



内容はすげえ尖っていて、若き天才科学者4人組にタイムマシンを作らせたイスラム過激派が西暦33年にタイムトラベルしてイエス・キリストを銃殺し復活させまいと企む、という話。



しかも実際にキリストを葬る暗殺者は、交通事故で妻子を失くして神を憎んでいる男。「お前イエス・キリストに恨みがあるんだろう?ならその手でやっちまえよ!」というわけですよ。信心深いのかそうでもないのかよくわからんぞ。可愛さ余って憎さ百倍的な感じなのか? 私も結構色んなタイムトラベル映画観てきたけど、こういうのは初めてですね。



つーか、イスラム過激派の人々は可能ならキリストを自分らの手でやっちまいたいと思ってるもんなんですかね? 製作者もさすがに心配になったのか、「一般のイスラム教徒はそんなことしません、彼らは過激派なのです」みたいなナレーションが不自然に入ったりします。正直なんのフォローにもなってないというか、それなら善玉キャラにイスラム教徒を入れておいた方がまだスマートだったのではないか。イスラム教いじりって下手打つとシャレにならないから怖いんですよね。わが国ですら「悪魔の詩訳者殺人事件」が起きましたし。ああいう事件が起こりうることを知ってたら普通こんな映画恐ろしくて作れませんよ。



それにしてもキリストが実在の人物とすると、銃殺なんかしたら歴史が大きく変わって科学者たちもイスラム過激派もまとめて消滅してしまうような気がするんですが。なんせ2000年前ですからねえ。と思ったらキリストを葬って現代に帰ってきた彼らはゾンビに襲われて本当に消滅してしまいました。どうしてそこでゾンビが出てくるのか分かりませんが、多分キリスト教の存在しない世界はそういう絶望的な世界だと言いたいのでしょう。本当に信心深いんだかバチ当たりなのかよくわからん映画です。キリストに「I'll be back」などと言わせているのを見ると多分後者でしょうが。



ただ、どいつもこいつも一度は消滅したり死んだりするけど別の時間軸(世界線?)では生きているのでなんやかんや終わりそうでなかなか終わらずに延々と話が続いていきます。このクオリティの自主映画を1時間53分も集中して観ることはかなり難しく、途中で寝てたら微妙にわけがわからなくなってしまいました。まあ別にわかったところでだから何なんだよと言いたくなる話なんですが。


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