「アイランド・ゼロ」 感想 金はないけど愛はある

概要

原題:ISLAND ZERO

製作:2018年アメリカ

発売:アマゾンプライムビデオ

監督 ジョシュ・ジェリッツェン

出演 ライラ・ロビンズ/アダム・ウェイド・マクラフリン/テリー・リーヴス


メイン州沖60キロにある孤島の漁村で、魚が取れなくなる異常現象が発生していた。そのうえ本土との定期フェリーが途絶え、住民は孤立。物資が底を付き、大半の住民が漁船で本土へ向かうが、目に見えない謎の怪物に襲われてしまう。島に残ったわずかな住民は赤外線カメラで怪物の姿を捉えるが…



予告編

感想





アマプラ配信のモンスターホラー。

例によってitn distributionのロゴが出てきた時点で崩れ落ちそうになりましたが、これは意外にもそんなに悪くない。



孤島の漁村を舞台に、外からやってきた小説家とか海洋研究家を中心に地元の漁師やウェイトレスなどとの人間ドラマが折り重なる前半は何となくスティーブン・キング風味。特にあの口の悪いばあさんがキング的なキャラに見えてしょうがない。舞台もメイン州沖なのでおそらくリスペクトしているのでしょう。



そこにじわじわとにじり寄るようにやってくる目に見えないモンスターの襲撃はジョン・カーペンター風味の味付けか。BGMはかなりそれっぽいです。「ザ・フォッグ」を思い出す雰囲気。



しかし超低予算映画の悲しさゆえ、その目に見えないモンスターが本当に全く目に見えないのが難点です。光学迷彩的な視覚効果は欲しかった。まあ一応赤外線カメラには映るのでそれを持ってる子供目線では「ああっ近づいてきてる!やばい!」という感覚をかろうじて味わえますが、四六時中見てるわけでもないのでいまいち物足りない。



っていうか「目に見えない」という設定に何ら意義を見出せないので、単にカネがないからやむを得ずそうしたのだとしか思えませんね。まあ、だとしたらなおさらそこを責めるわけにもいきませんが…



とはいえ目に見えないモンスターに足を引っ張られて胴体真っ二つ!てな感じのスプラッターな見せ場はそこそこあり、人体破壊度のわりに血糊が致命的に足りてない気はしますが、その努力には非常に好感が持てます。



また、彼らは単なる血に飢えた怪物ではなく高い知能と社会性を持ち、人間と意思の疎通も可能。そこを利用して人間側にスパイ的な存在が混じっているのも、単なるモンスターパニックにすまいというひねくれた工夫が見え隠れしていて良いです。



展開が平坦でいまいち盛り上がりに欠けることは否めませんが、それでもカネがないならないなりに色々工夫してできるだけいいものを作るんだ!というモンスター映画愛に溢れたいい作品だったと思います。これは配信のみで終わらせずレンタルDVD出してくれても良かったんじゃないかなあ…。


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