「バッド・ヘアー」 感想 血を吸うエクステ

概要

原題:Bad hair

製作:2020年アメリカ

発売:プレシディオ

監督:ジャスティン・シミエン

出演:エル・ロレイン/ジェイ・ファロー/リナ・ウェイス/ケリー・ローランド


1989年、TV局でアシスタントとして働いているアナは、司会者になりたいのならサラサラヘアーでなければいけないと上司に言われてしまう。そこで紹介されたヘアーサロンでサラサラのエクステを装着してもらうが、それは呪われた血を吸うエクステであった。


予告編

感想





髪の毛が人を襲って血を吸うホラー映画。


ってことでかなりバカバカしい内容ではあるんですが、テーマとして黒人差別、搾取が盛り込まれているので実は結構シリアスなような気もする。わざわざ1989年を舞台にして、黒人音楽を主に放送しているテレビ局で働く女性を主人公にしている点を見ても、当時の…何というか黒人文化を商品化して稼ぐ白人とそれを良しとしない黒人との対立といった複雑な事情を何やかんや描きたいんだろうなぁと。



とはいえそんなのは私の知ったことではないので、単に髪の毛が血を吸って暴れるホラー映画として眺めていたわけですが。

ところでまず「エクステ」なるものについてなんですが、私はこれただのつけ毛でカツラのようなものだとしか思ってなかったんですよね。しかし本作を見てるとどうもそうではない様子。



音楽番組の司会者になりたいならそんな縮れ毛ではなくサラサラヘアーにしないといけませんよ!ってことで主人公アナは世界的に有名なヘアーサロンでエクステを装着?することに。1989年のテレビ局とか黒人音楽文化について疎いので、なんで縮れ毛じゃいけないのか分からん。だけど、まあカツラを被る程度でいいなら別に全然大したことじゃないよね。



…とか思ってたら、壮絶に痛そうなエクステ装着シーンに驚きました。

え、エクステってカツラみたいなもんじゃないの? そんな頭皮に直接針で縫い付けるもんなの? 血ィ出まくりだが麻酔とか要るレベルの施術では? 



しかもこれ死体から採った髪だし。そんなものを血まみれになりながら頭皮に縫い付けるなんてもうこれだけで充分ホラーですよ。っていうか普通にこのシーンが一番怖い。そこまでしてサラサラヘアーがほしいか? 地毛はショートカットにでもしてカツラを被った方が楽なんじゃないの?

私の妹もエクステを付けてたことがあったような気がするんですが、あいつもこんな痛い思いをして縫い付けてたのかなあ。



この前見た「ヤミー」でも思いましたが、女性は美を追求するためには相当な痛みに耐えられるもんなんですね。私は手術とか恐ろしすぎて、できれば死ぬまでしたくないので信じられません。



…で、そこまでして付けたエクステによって仕事は上手くいくものの、実はそのエクステは呪われたエクステであり、襲ってきた大家さんとか元恋人の血を吸って殺害。ついでに元上司も殺してしまう。



辞めた元上司との間でそこそこシリアスな人間ドラマが展開されてて「イイ話ダナー」とか思って観てるのに、いきなり髪の毛が暴走してぶっ殺してしまうシーンがえらくシュール。その後のテレビ局内でのクライマックスも笑いを取りに来てるとしか思えないチープさ。ほんとに1989年製の映画みたいです。まるで午後ローを観ているような感覚に陥りました。結局、本作のテーマはろくに汲み取れませんでしたが、ただのB級ホラーとしてもそこそこ楽しめたのでまあ良しとしておきます。


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