「サスペリア・テルザ 最後の魔女」 感想(ネタバレあり) チョトマテ

概要

原題:Mother of Tears: The Third Mother

製作:2007年イタリア・アメリカ

発売:キングレコード

監督:ダリオ・アルジェント

出演:アーシア・アルジェント/クリスティアン・ソリメーノ/ヴァレリア・カヴァッリ/ウド・キア/フィリップ・ルロワ


イタリアのある町で、墓地近くの工事現場から古い棺と遺品入れが発掘された。ローマの博物館で考古学の研究をしているサラは、副館長と共にその遺品入れを開けてしまう。すると中には「涙の母」と呼ばれる魔女を復活させる彫像や法衣が入っていた。復活した「涙の母」はローマに呪いを放ち、街では次々と自殺や殺人が起こり始める。


予告編

感想



いやー、正月休みが終わって明日からまた悪夢のような労働の日々が始まるかと思うと頭痛がして仕方がありません。永遠にゴロゴロしていたい。こんな時にいつものような無名のクソ映画を見る気力はないので、今日はそこそこ知名度のあるホラー映画を鑑賞してみました。とはいえこれはこれで体調不良がよけい悪化するほど気持ち悪い映画でした。休み休み観たけども頭痛と吐き気が酷い。



1作目の「サスペリア」は小学生の頃に観てそのドギツイ音楽と照明に彩られた殺人シーンに衝撃を受けました。が、2作目の「インフェルノ」はなんか急にその辺のホットドッグ屋が発狂し出すトンチキな映画という記憶しかなく、そのせいでシリーズ最終章である本作も別にヒマな時に観ればいいかなと長年放置してたらいつの間にか12年も経っていました。このパターン多いな。



大体、ダリオ・アルジェントも70年代から80年代の仕事は天才としか言いようのない尖りっぷりであったものの、今世紀に入ってからはなんかカドが取れて普通の人になってしまった感が否めない。「愛と欲望の毛皮」はまあ良かったんですが「スリープレス」とか「デス・サイト」が激しく微妙で、もうこれ以上この人を追う必要はないのかなと…。



まあそんなんでも本作は先月からアマプラで無料配信が始まったのでせっかくだからと観てみたわけですが、これは「サスペリア」どころか「インフェルノ」よりも出来が悪いかもしれない。

世間的にはマイナーで失敗作とされている「インフェルノ」ですが、確かに私もわけがわからなくてくそつまらない駄作だったと思ってはいます。しかし、音楽だけは素晴らしいんですよね。サントラは今でも結構聴いてるぐらい好きです。内容も意味不明ではあるものの、突然ホットドッグ屋が発狂するシーンはかなりインパクトがあり、観た者の心に何十年経っても忘れられない爪痕を残してくれました。



そこへ行くと本作はさほど印象に残るものがなく、薄味。音楽は私の大好きな元ゴブリンのクラウディオ・シモネッティですが、本作に限っては特にこれと言って耳に残る曲が一つも無いし。グロシーンだけはなかなか気合が入っているものの、ただただグロイだけでホットドッグ屋のような狂気は感じられない。それにしても目玉をえぐられた女の子の描写はかなりエグくて夢に出そうです。あとは殺人後に電話口で叫ぶ男だけはまあまあ良かったかな、というぐらい。


何より復活した魔女たちが飛行機に乗ってローマにやってくる絵面が異様に魔女らしくなく、恰好もただの下品なパンク女子みたいだしその中に日本人が混じってるのも違和感しかない。まあ、あの日本人魔女が「チョトマテ」とか言いながら追ってくるくだりはコメディとしては面白いかもしれませんが。



あと致命的なのは、クライマックスがなあ…

主人公サラが最強の魔女である「涙の母」と対決するわけですが、涙の母が着ていた赤い布を剥ぎ取っただけで終了とかいくらなんでもあっけなさすぎませんかね。その後に地震が起こって地割れから何かのオブジェが落ちてくるCGにしても安っぽすぎてB級どころかC級に片足突っ込んでるような画面になっちゃってるし。その前にもサラの母親の幽霊がたびたびCGというか合成で出てくるんですが、そこも悲しいくらい安っぽい。しかもあれがダリア・ニコロディだなんてね…。若い頃の面影が全然無くて気が付かなかった。



ということで本作最大の見どころは死体まみれの汚水にジャブジャブ浸からされるアーシア・アルジェントだと思いました。そこだけは衰えたとはいえダリオ・アルジェントが娘をいたぶって悦ぶ気持ち悪い変態性がよく出てます。出す必要は全くないと思うけど。よく家族でこんな映画撮るもんだなあと感心しますよ。つーかアーシア・アルジェントも美人には違いないんだけど、結構オヤジに似てるから観てて微妙な気分になるんだよな…。


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