「ブラッド・シップ」 感想(ネタバレあり) 吸血神拳

概要

原題:Blood Vessel

製作:2019年オーストラリア

発売:ハピネット

監督:ジャスティン・ディックス

出演:ネイサン・フィリップス/アリッサ・サザーランド/アレックス・クック/マーク・ディアコ/ジョン・ロイド・フィリンガム/クリストファー・カービイ/ロバート・テイラー


第2次世界大戦末期、ドイツ軍に撃沈された病院船から救命ボートで脱出し、太平洋を漂っていた男女数名。生還は絶望的かと思われたが、そこにナチスの無人船が通りかかる。必死で乗り込んだ彼らだったが、それはとある怪物を護送するための船であった。


予告編

感想


オーストラリア製のホラー映画。

病院船が撃沈され、救命ボートで太平洋を漂っていた男女数人。彼らは通りがかったナチスの船に乗り込むが、そこはドイツ兵の奇怪な死体が転がる幽霊船であった…という話。


実にオーソドックスで既視感漂う映画です。特に残酷描写が派手なわけでもないし、人間ドラマの出来が優れているわけでもない。おまけに出てくる怪物はルーマニアの吸血鬼ストリゴイときた。今時そんなクラシックなモンスターでホラー1本作っちゃうの?と言いたくなる古臭さ。


が、最近Z級映画を続けて観ていたおかげでそこそこ楽しめました。

「ハウス・オブ・VHS」のような超Z級地雷映画に比べたらこのクラスのB級映画でも大ヒット作のように面白く見えると言っても過言ではない。B級映画を本当に楽しみたいなら普段からクソッタレなZ級映画に慣れ親しんでおくべきなのです。



…とは言ったものの、改めて感想を書こうとしてもあまりにもフツーすぎて特筆すべきポイントがない。まあフツーに観られるクオリティのありがたみを今は感じているのでそれは別にいいんですけども。

ただ、ホラー映画を観すぎて感性が摩耗したせいかもうこれくらいの作品では何の刺激も感じなくなってしまったようです。明らかに良くない傾向だが一体どうすれば少年の頃のような瑞々しい感受性を取り戻せるんでしょうか。たまには感動のヒューマンドラマでも観ておくべきかな。もう遅いか。



それはさておき数少ない本作の見どころについてですが、例によって吸血鬼ストリゴイに噛まれた人間は吸血鬼の仲間になってしまいます。で、手のひらを噛まれてしまった女性に対してストリゴイが「お前はもう死んでいる」などと、どこぞの暗殺拳伝承者のようなセリフを吐いてたのはちょっと笑えましたね。まあそれだけなんですが。というかこの吸血鬼、もっと派手に人を襲ってくれればいいのに妙に奥ゆかしくて、遠隔操作とか間接的にしか攻撃してこない。なので、せっかくのエイリアン的閉鎖空間モンスター映画なのにいまいち逃げ場がないという緊迫感に欠けます。ストリゴイの造形そのものは悪くないのでもったいない。


また、ラストは「こんな怪物をこの船から出してはいけない」という使命感に駆られた主人公たちが船を爆破するが…という定番すぎるクライマックスで、しかし唯一生き残って救助された人間が吸血鬼化してしまっていた…という後味悪めなオチまで何もかもどっかで観たような流れ。これは例えば「アムピトリテ」と全く同じです。どうしてこの手のホラー映画は判で押したように同じような展開にしてしまうのか。ちょっとでいいからひねってほしいかなと。


登場人物の国籍や職業が様々で、呉越同舟な感じがあったのはちょっと良かったですね。まあそのわりにコックが無駄に2人もいたりと変な偏りはありましたが。


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