「ドント・レット・ゴー 過去からの叫び」 感想(ネタバレあり) 並行する過去と現在

概要

原題:Don't Let Go
製作:2019年アメリカ
発売:NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
監督:ジェイコブ・アーロン・エステス
出演:デヴィッド・オイェロウォ/ストーム・リード/ミケルティ・ウィリアムソン/アルフレッド・モリナ/バイロン・マン

刑事のジャックは、何者かに弟一家を皆殺しにされ悲しみに暮れていた。しかし、死んだはずの姪アシュリーから電話がかかってくる。なんとその電話の先にいるのは2週間前のアシュリーであった。ジャックは2週間以内に一家殺害事件の謎を解き、姪を救うため奔走するが。

予告編



感想


何者かに殺されたはずの姪アシュリーとなぜか電話が繋がり、それが2週間前の姪だったことから電話を通じて殺人事件を未然に防ごうとする刑事ジャックの話。
どこかで見たことがあるような無いような設定です。デンゼル・ワシントンの「デジャヴ」を思い出したかな。

叔父と姪の絆を描いた人間ドラマというのも珍しいし、音楽も印象に残るしでそこそこ楽しめました。ブラムハウス製作作品はどれも品質が高い印象。

殺人事件そのものは特にどうというほどの内容ではないんですが、本作は2週間前の姪とやりとりをすることによってその都度現在も絶え間なく変化していくタイプのSFなので結構ややこしく入り組んでるように感じられます。


※以下ネタバレ全開です。





例えば過去の姪が壁に赤いXを描くと、現在のジャックの目の前の壁にも赤いXが出現するといった具合。現在と過去が並列に存在しており、過去を変えると現在の方が一方的に書き換えられるというルールのようです。

姪が本来の歴史と違う行動をした時点で別の未来に枝分かれしそうなもんですが、そうではなく時間軸はあくまで1本しかない。ジャックが殺人犯を深追いして殺されてしまっても、過去の姪が怪しい車を通報することでなかったことに出来る。

ただ、そこまで大きな改変を起こしたのにジャックの記憶が継続しているように見えたのがややこしくて混乱しました。多分、また別の経過をたどって似たような状況になった別のジャックということなんでしょうけども…

ラストも解釈に悩みます。現在で犯人に追い詰められたジャックですが、過去で犯人を撃ち殺したことにより、追い詰められたという事実がまるっきりなかったことに改変。過去で救われた姪とジャックを映してメデタシメデタシなエンディングになるわけですが、これは現在のジャックが主役の映画ではなかったのか。現在のジャックは一体どこへ消えたのか。姪が助かった過去を元に歴史ごと再構築されることになるんでしょうけど、そうなると姪を救うべく奔走したジャックは完全になかったことになってしまい、死んだも同然なのではという気がします。これはハッピーエンドと見せかけてなかなかやるせない終わり方。


ところでこういうのを観るといつも思うんですが、犯人からしたら相当理不尽な話ですよね。せっかく捕まらないように犯罪を完遂したのに、わけのわからん超常現象によってむりやりリセットされ後出しで防がれてしまう。本作の場合この超常現象に何の説明もなかったからなおさらですね。

コメント