「2020 世界終焉の日」 感想(ネタバレ) エイリアンは神

概要

原題:Invasion Planet Earth
製作:2019年イギリス・フランス
発売:AMGエンタテイメント
監督:サイモン・コックス
出演:サイモン・ヘイコック/ルーシー・ドライブ/ジュリー・ホルト/ダニー・スティール/ジョン・カンプリング/ケイト・マリエ・デイビーズ

地球最期の日は、突然やって来た。世界中の上空に宇宙船の大群が出現。人類に攻撃を仕掛けてくる。ロンドン、メキシコシティ、ニューヨークなど、大都市が壊滅状態になり死傷者続出。アメリカ軍も降伏し、終焉へのカウントダウンが始まった。なぜ!?いったい地球はどうなる!?この絶望的な状況の中、侵略者の秘密を偶然つきとめた医師のトムは、妻とお腹の子を守るため、地球の危機に立ち向かった―。
(↑AMGエンタテイメントHPより)

予告編




感想






いやー、これは眠たい。とんでもなく眠たい映画でした。これはエンタメじゃないですね。キリスト教のPR映画に近い雰囲気。教会で牧師の説教を聞いてる気分になります。そりゃ無神論者が見たら眠たくもなりますよ。

一応エイリアンが地球に攻め込んでくるB級映画なのに、いつもの「インデペンデンス・デイ2020」という邦題じゃない時点で…いや、ニューセレクトが買い付けてない時点で何かが怪しいと疑うべきでしたが、そういう方向性でのダメ映画だとは思わなんだ。

2020年、世界は終焉する ――。奴らはやってきた。想像を超えた巨大さと破壊力で人類を滅ぼすために!

っていう宣伝文句も何もかも全力でデタラメです。
奴らはやってきますが、別に何も破壊しないし人類殲滅が目的ですらない。



序盤、主人公トムの奥さんが子供たちに「ノアの方舟」の話を読み聞かせているくだりですごく嫌な予感がしたんです。あとアメリカ軍とどっかの国の将軍が戦争してるニュース。あからさまに伏線臭いじゃないですか。しかしエイリアンがやってくる映画で「ノアの方舟」をやるとなると…つまりエイリアンが襲ってきたと見せかけて、実は人類の救済に訪れたのだという話になるしかないわけですよ。

こっちゃエイリアンと人類の殺伐とした戦争を観たくて借りて来てるのに、エイリアンが人類を助けてくれるだなんて怪しい慈愛に満ちた説教映画だと知ってたら借りるわけがない。ジャケも宣伝文句も全部悪質な詐欺以外の何物でもありません。さすがAMGエンタテイメントの仕事です。限りなく黒に近いグレー。


ノアの方舟よろしくエイリアン(神)が人類をよその星に連れて行ってくれる映画って今までも何度か出くわしたことがありますが、全く持って面白かった試しがないんですよね。有名どころだとアレックス・プロヤスの「ノウイング」なんて予告編がすごく面白そうだったからわざわざ劇場まで見に行ったのに方舟系のオチで心底ガッカリした記憶があります。いっそのこと「ノウイング2020」っていう邦題にしてくれりゃ良かったのに。

それでも「ノウイング」は前半でかなりハッタリを利かせた展開を見せてくれたので退屈はしませんでしたが、本作はそれすらない。エイリアンにアブダクションされた医師のトムとその患者たちはわけのわからん地球外空間に連れていかれたにも関わらず非常に冷静です。「クスリが抜けた」とか喜んでやがる奴もいる。それどころじゃねえだろと。


かと思えば、わけのわからん妄想空間で各自過去のトラウマをほじくりかえされたりとスピリチュアルな展開に終始。地球規模のお話なのに精神病患者のトラウマ克服にばかり尺がとられております。エイリアンはただ人類を地球から逃がしてくれるだけじゃなく、メンタル面でも救ってくれるというわけですね。侵略映画を借りてきたつもりでこんなのを見せられるのは苦痛という他ない。寝てしまうわ。


本作は脚本が出来てからリリースされるまでに17年もの月日を費やしたそうです。CGや特殊効果などの盛り込み具合を見るに、情熱だけはこもってそうな映画なんですよ。よっぽど敬虔なキリスト教徒が「神を信じれば救われる」というメッセージを広めたいために一生懸命作ったんでしょうね…

問題があるとすれば、日本のクソ映画マニアにはそんなメッセージは一切伝わらないであろうということでしたね。

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