「ファンハウス 殺戮の監禁部屋」 感想 苦痛の梨とは

概要

原題:Funhouse
製作:2019年カナダ・スウェーデン
発売:ギャガ
監督:ジェイソン・ウィリアム・リー
出演:ヴォルター・スカルスガルド/カミサ・ウィルシャー/カロリーナ・ベネフィールド

落ち目の歌手キャスパーは、ある日ファンハウスに招待される。“ファンハウス”とは、隔離された空間で共同で暮らす男女の様子を生配信するリアリティショーで、キャスパーは世界中から集められた7人のC級セレブと優勝賞金500万ドルをかけて参加する。共同生活は刺激的で充実しているかのように思えたが、最初のチャレンジで1人が残酷に殺されると楽しい時間は一瞬にして惨劇へと変わった。最後の1人になるまで続けられる恐怖の殺人ゲームはやがて視聴者をも巻き込み予期せぬ方へと進んでいき――
(↑ギャガHPより)

予告編



感想


賞金500万ドルに釣られて集まったC級セレブ7人が、テラスハウスみたいなリアリティショーを装った殺人ゲームに参加。全世界に配信される中、一人ずつ血祭りにあげられていくという悪趣味かつ凡庸なホラー。別に悪くはないんですが、ひねりがなさすぎるわりに尺が長くてダレました。ぬるめのSAWって感じですかね。この内容で1時間45分は長すぎる。カットしたい場面がいっぱいありました。

主演のヴァルター・スカルスガルドってあの俳優一家のスカルスガルド家の人みたいですね。コネクションには不自由しないだろうに、なんでこんなしょうもないB級ホラーに出てるんでしょうか。



私は「テラスハウス」を全く見たことがないんですが、たぶんこんな感じなんだろうなっていう和気あいあいとした展開が序盤の30分ほど続きます。もうこの時点で結構冗長。それに最初は殺人ゲームだと知らされていないとはいえ、優勝者は500万ドルももらえるんだからもっと殺伐とした空気にならないとおかしいと思うんですがね。別にほっといても殺し合いが起こりそうな額だと思うんですよ。しかしどいつも視聴者からの票を獲得するために大した行動を起こしていない様子。

最初の脱落者が決まるところはちょっとだけワクワクします。最下位になったいけ好かないユーチューバーが一体どんな面白い死にざまを晒してくれるのかとね。

しかし、処刑方法は単なるバットでの撲殺です。それはちょっとインパクトに欠けるのではないか。そんな視聴者の不満を察したのか、2番目に処刑されるラッパー?は強酸で溶かされるというひどく残虐な方法。いやバットは確かに物足りないが、そこまでドギツイのは望んでない。まあそんなリアルじゃなかったからいいけど。

そんな感じで2人目以降は意外とスプラッター度が高いです。その割には世界中の人が面白がって参加していて胸糞悪くなりますが、まあ世の中そんなもんかもしれません。

また、死の罰ゲームをルーレットで決めるくだりがあるのですが、その中に「ネズミ責め」とか「串刺しの刑」があるのはいいとして「苦痛の梨」ってのが混じってるんですよね。死ぬまで梨を食わせるとか? しかし結局一度もそこに当たらないので何なのか分からなかったんですが、念のためググってみたら普通に出てきました。そういう拷問器具が存在したとは知らなかった…。中世の人間はよくまあこんな様々な拷問器具を編み出したもんですね。これはあんまり知りたくないムダ知識だったかな。


梨はさておき、クライマックスからラストにかけては非常に納得いかない展開でした。急にそんな「真実の愛を見つけた」みたいな雰囲気を出しながら自己犠牲心を発揮されても、今まで大した描写も無かったのに不自然だし興覚めです。こういうデスゲームものって大抵主人公は愛を優先したり、抜け道を見つけたりでゲームをまともに勝ち抜こうとしてくれないんですが、本作も例外ではありませんでした。だからありがちに見えるんですよ。最後まで戦って勝ち、500万ドルを手に入れて素直に喜ぶ。そんなデスゲームをたまには見てみたいものです。

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