「ヘル・フライト 乗客消失」 感想(ネタバレ) 乗客以外も消失

概要

原題:MAYDAY
製作:2019年アメリカ
発売:ギャガ
監督:マッシミリアーノ・チェルキ
出演:マイケル・パレ/クリスタル・サントスエリーズ・ミューラー/シャネル・ライアン/ヴィンセント・リベラ

ロサンゼルス発、ロンドン行きの飛行機。離陸後しばらくして機内の照明が激しく点滅し、乗客の1人が突如として消え失せる。航空保安官のアダムは機内を捜索するが、失踪した乗客はどこにもいない。そうするうちに一人また一人と乗客が消えていき、ついには機長までもが消失。アダムは、消えた乗客の荷物の中から怪しげな魔術書を発見するが…

予告編




感想


B級映画ファンは皆大好きマイケル・パレ主演の新作。
それにしても、いつにも増して恐ろしく金のかかってなさそうな映画でした。なんせ貧乏臭い飛行機のセットの中から一歩も外に出ませんからね。CGも壮絶にチャチだし、出演者の演技力もちょっと厳しい。
とはいえ、これでも製作費は100万ドルぐらいかかっているようです。安いんだか高いんだか…


内容は、ロンドン行きの旅客機の中で乗客が一人また一人と失踪していくという話で、前半の風呂敷の広げ方は謎めいていてそこそこ面白いです。が、こういうのはリアリティを損なわないように上手く畳んでこそ良作と言われ得るのであって、単にオカルト方面へ行ってしまわれては興ざめです。乗客が消えるったって悪霊の仕業なら別に何でもありですからね。つーか悪霊でも何でも乗客が消えてるのは事実なんだからとっとと引き返すか最寄りの空港にすぐ着陸したら?って思うんですが、頑なにロンドンまで行こうとするのはいかがなものか。


なんでそんな悪霊が持ち込まれたのかも結局よく分からんまま終わったし、シートベルトをしてれば連れていかれないってのも何だかなあ。オカルトならもっとオカルトチックな防御方法であってほしいんですよね。例えば腹に油を塗って祈りながら叩くとか…何でもいいからさ。それがシートベルトじゃあんまり普通過ぎて面白がれないじゃないですか。「悪霊はユーモアを好む」みたいなこと言ってたけど別に何も笑わせてくれないし…



まあ悪霊のことはさておき、我々B級映画ファンがまずマイケル・パレに期待することと言えば、一体どんな裏切り方をしてくれるのかな? ということですよ。
いつも通りどこからどう見ても爽やかに胡散臭い航空保安官のマイケル・パレ。
生き残った乗客からも「あいつが怪しいと思う」と囁かれてしまう男。
客観的に見ても腹に一物ある風な表情なんです。いつも通り。
シートベルトしてないのに消失する気配がないですからね。これは怪しい。


ところが、本作のパレは最後まで裏切ってくれませんでした。見るからに怪しい笑顔を振りまき、裏切ると見せかけて裏切らないとは…。これには虚を突かれた。最初から最後まで真っ当にヒーロー役を貫いたパレを観たのは初めてかもしれん。ある意味新鮮ではあるが…やっぱり裏切るパレが観たかった。


ということで、パレファンならばそれなりに暇つぶし程度には楽しめますが、そうでない人が新作で借りるほどではないかなあ…ってところです。


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