「フローズン・ビロウ」 感想 芸術とクソは紙一重

概要


原題:The Dark Below
製作:2015年アメリカ
発売:動画配信のみ
監督 ダグラス・シュルツ
主演 ローレン・シェーファー, デイビット・G・B・ブラウン

連続殺人鬼の夫と人生を歩むことになった妻が、複数の若い女性、そして自身の一人娘ののちに、夫の快楽殺人のターゲットにされてしまう!氷で閉ざされた極寒の湖に投げ込まれた妻は、生きる希望を捨てることなく、出口を捜し脱出を試みるのだが...。容赦なき究極のサバイバル・スリラー!
(↑アマゾン商品紹介より)

予告編





感想

今まで黙っていましたが、私はクソ映画が非常に好きです。
ついでに言うとクソゲーとかクソ漫画も大好きです。


しかしクソゲーはPS3の世代以降、開発費の高騰やスマホゲーの台頭などによってゲーム業界そのものの参入障壁が非常に高くなってしまい、弱小3流メーカーの入り込む余地がなくなってしまったため、ほぼ淘汰されてしまいました。


一方、クソ漫画の方は買い集めると場所を取りまくってしまうので、ゲームや映画ほど手軽に楽しむことが出来ないという難点があります。例えば私が日本一面白いクソ漫画だと高く評価している「一本包丁満太郎」なんかは全34巻もあるので引っ越しのたびに凄まじい重荷となっているのです。


それに比べるとクソ映画はいい。
映画と言う文化がなくならない限り低予算作品も尽きることはないし、ストリーミングによって有象無象の自主製作映画も数限りなく格安で提供され続けることでしょう。


とはいえクソ映画については脳が拒否反応を示すことが多いことも否定できません。少なくとも見ている間は苦痛です。なのでブログではボロカスにけなすことも多々ありますが、その実、体は歓んでいるのです。悪いものだと分かっているのにやめられない…手が勝手に話題作よりクソ映画を選んでいる…これはもうタバコや酒と似たような存在であると言っても良いでしょう。



で、この「フローズン・ビロウ」なんですが。

かなりのインパクトはあると言えます。セリフが序盤に一言あるだけであとは一切ない。つまり実質サイレント映画です。だからと言って静かなのかというとそうでもなく、常時大げさなBGMが鳴り響いているので逆に騒がしい。まあ、曲自体は悪くないので音楽担当の人は相当頑張ったなあとねぎらってあげたくなります。


ストーリーはなんか殺人鬼の夫が妻を凍り付いた湖に投げ込むという話のようなんですが、なんでそんなことをしているのかまでは分かりませんでした。アマゾンさんも内容がよく分からなかったとみえ、「連続殺人鬼の夫と人生を歩むことになった妻が夫のターゲットにされてしまう!」などと素敵なあらすじを記載しています。


妻にわざわざウェットスーツを着せて酸素ボンベにゴーグルに水かきまで完全装備させて湖に放り込む殺人鬼。一体何が目的だったのか。妻が上がろうとするたびにツルハシや銃で殺そうとしてくるんですが、そんな面倒なことせんでも最初からそれで殺せばいいんじゃないのと突っ込まざるを得ません。対象を溺死か凍死させることにこだわりのある殺人鬼を描きたかったんでしょうか? けどそれなら着の身着のまま放り込めばいいだけだしなあ…


極寒の湖に長時間浸かったことで妻の手が凍傷に侵され、薬指がもげてしまう…という痛々しいシーンがあります。
が、折り曲げているだけなのが丸分かり。
よりによってなんで薬指にしたのか。
薬指だけ曲げるのって結構難しいと思うんですよ。

クライマックスは延々とスローモーションです。
尺を稼ぎたいのが見え見え。
製作者も視聴者もお互いやることがなく手持無沙汰となりシンパシーを感じます。
そこまで無理に引き延ばさんでも、別に短い映画でもいいと思うんですけどね。


にしても、なんでこんなものをわざわざ輸入するんだ??

…と思いましたが、よく考えるとセリフがないんだから字幕を付けるコストもなかった。なので、動画配信のみであればほぼノーリスクで売れる映画なのでした。とはいえ観る方は200円ぐらい払って1時間15分を費やすことになるので、常人にはとてもじゃないけどオススメはしかねる映画です。まあ、本作の存在に気付いている人もほとんどいないとは思いますが。




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