「ヤニック」 感想 いい感想しか言っちゃいけないのか?

概要

原題:Yannick

製作:2023年フランス

配信:Atelier de Production-Chi-Fou-Mi Productions

監督:カンタン・デュピュー

出演:ラファエル・クナール/ピオ・マルマイ


ある舞台の公演中、観客のヤニックという男がいきなり立ち上がってクレームをつけ始めた。55分もかけてわざわざ来たのに、こんな面白くない芝居はもう見ていられない。オレが脚本を書いてやる!と銃を振りかざし、舞台に上がる。彼は本当に面白い舞台を作り上げることが出来るのか。


予告編

感想


カンタン・デュピューの2023年作品。

アマプラのJAIHOには前からありましたが、これ以上サブスク加入したくないので様子を見ていたらU-NEXTに入荷してくれたので観てみました。



するとこれが小粒ながら非常に面白い。やはりカンタン・デュピューは最高ですね。毎回のように見た事がないタイプの笑えるサイコ野郎を出してくれます。変な奴の引き出しが多すぎる。



今回のサイコ野郎はタイトルにもなっているヤニック。せっかくの休日に15分も歩いて45分も電車に乗ってわざわざ芝居を見に来たのに、なんでこんなつまらないのを見せられるんだ?といきなりクレームをつけて中断させてしまう。彼の


「いい感想しか言っちゃいけないのか?」


という言葉は引っかかる人もいるんじゃないでしょうか。SNSを見ていると「いい感想しか言っちゃいけない」と言う人が多い。彼らの理屈ではつまらなく感じた場合は黙殺するのが礼儀作法として正しいことらしい。



まあ波風立てたくないのは分かるんですが、金出して観た芝居や映画の感想ぐらいは素直に言ってもいいのかなと。観たもの全てをただ褒めてたら何も言ってないのと同じだと思うし、突き抜けて面白くなければそれはそれでクソ映画マニア的には価値が出てくる。中途半端に面白くないものでも、どこか一つでも尖っている個性が見いだせればそこを愛でればいい。



それはともかくヤニックのやっていることは超絶モンスタークレーマーとしか言いようがないんですが、不思議と不快感がなくむしろ観ていて爽快です。普通なら黙って我慢するか途中退席するものを、わざわざ立ち上がって意見表明。誰しもやりたい瞬間がたまには訪れるが、一般常識が邪魔をしてできない事。その壁を躊躇なく突き破ってくれるのが気持ちいいんですね。まあその芝居を本当に楽しんでいる人からすれば迷惑極まりないことでしょうが。でも正直一番笑えたのは本筋よりノートパソコン貸してくれた人とのやりとりでした。



あとはなぜかヤニックが


「おれの名を言ってみろ」


とか


「もういい お前の口は臭すぎる」


とか、世紀末的なセリフをいうシーンが何度かあって、それも笑ってしまいました。




「ヤニック」(Amazon Prime Video)


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