概要
製作:2024年日本
配信:ODESSA ENTERTAINMENT CO.,LTD
監督:寺西一浩
出演:寺西優真/ 国本梨紗/後藤萌咲/北乃颯希/松岡里英/稲沢朋子/増田あゆみ/地山真生/北條透子
老舗の人気ラーメン店「花梨」の隣に、激安ラーメンチェーンの「コイケ」が開店する。なんとそこではラーメン1杯460円で出すというのだ。しかもコイケは花梨を潰すため、主力のベテラン店員を引き抜いてしまう。さらにそのうえ花梨の店主がとんでもない方法で殺害される。残された息子は、最後の望みを賭けてコイケとのラーメン対決企画に挑むが…
予告編
そんなものは
ない
感想
「占いゲーム」「SPELL」製作陣による恋愛ラーメン対決サスペンスドラマ。
1話400円で全4話配信中。
アマプラでは4話まとめてレンタルすると1200円でちょっとお得!ということで観てみました。
…と思ってたら来月には無料配信になる模様。全然お得じゃなかった。ちくしょうめ。
虚空に吸い込まれた1200円はさておき、内容の方は途方もなく凄まじいクオリティです。好事家的にはもうクセになる刺激臭に満ち満ちています。正直言って面白すぎます。レンタルではなく4000円出して購入したくなってきました。DVD出してくれ。
オープニングはパッと見は明るくポップでまともな雰囲気になってるし、いつもの胡散臭いおばさんラッシュではなく若くて可愛い女の子がたくさん出てきます。まあよく見るといつものおばさんたちもしっかり出てるんですけどね。
舞台となるのはラーメン屋「花梨」で主人公は店主の息子・流君。他の寺西作品を見た人なら判ることなんですが、どう見ても「煮込み てらにし」と同じ店構えです。テーブルが3つあるだけの極狭物件。カウンター席がひとつもないラーメン屋も珍しい。
その規模で店員5人も要る?
卓上に調味料ひとつないけどいいの?
厨房の前にあるデカいモニタは何?
トッピングに「こんにゃく」?
など色々変な所はありますがまあそれは置いといて、人気店のはずなのに一般のお客さんが入っている場面が全4話中ただの一度たりとも存在しないのが気になりまくり。その描写はどう考えても必須ではないか。ついでに調理シーンも一切無し。どんなラーメンなのか言及することも無し。ライバル店に客を奪われるというか、そもそも営業してるようにすら見えない。賄いでラーメンを食べるシーンはあるものの、見た目からして非常にマズそう。それはコイケも一緒だけど。
ツッコミどころは星の数ほどあるのでここで触れるのはごく一部に留めておきますが、一番エキサイティングだったのは流君の母(店主)が何の前触れもなくいきなり店で事切れてるくだり。持病の発作かなんかで突然死したのかと思いきや、数日後…店の床をふと見るとスズメバチ数匹の死骸が!
そんな目立つもん床に堂々と落ちてたら即気づくだろ!?警察はどうした!!?…と突っ込む間もなく、ライバル店の「コイケ」が昆虫ブローカーからスズメバチを購入していたと明かされます。なんでわざわざそんなめんどくさい方法で!? しかもたかがラーメン競争ごときで!? まるで何一つ理解できない超展開。が、だからこそ面白い。狂気の沙汰ほど面白い。見てる間ずっと笑ってました。もはや寺西ワールドの虜です。
店主がいなくなり、何の修業もしていない流君が作るラーメンはカップ麺以下のクオリティ。しかし、それでも起死回生のラーメン対決企画に打って出る。何の勝算もないままに。これもまた理解不能な超展開ですが、その対決シーン自体も途方もなくイカれており驚愕の嵐。天然とは思えないボケっぷりだけど、わざとやってるならそれはそれで凄ェ!としか言いようがない。
審査員は
「雑誌編集者中村」
「ファンタスティック川井」
「近所のクリーニング屋の小川さん」
の計3名。
ファンタスティック川井もだいぶアレだが近所のクリーニング屋ってなんだよ!?
こういう勝負では後攻が勝つと相場が決まっているものですが、流君は当然のように先攻。とか何とかろくにツッコむヒマもなく、3対0で即敗北。あまりのスピード感についていけません。カップ麺以下のクオリティなら瞬殺されても仕方ないか…?
とか思ってたら、その後すぐクリーニング屋の小川さんが買収されていたことを告白してくる。だから速いってば。何という濃密な展開。カネは受け取りちゃんと不正をこなし、あとで罪悪感だけ軽減しにくる驚きのクズムーブ。まあどっちにしろ小川さんの一票が入ったところで負けてますがね。
この作品全体から滲み出る狂気はまだまだこんな程度では伝えきれないんですが、さすがに長くなりすぎるのでこの辺にしておきます。実際観たらたまげて腰を抜かすこと請け合いです。角のとれた口当たりの良いものではなく、とにかくイカレて尖りまくったものに刺されたいという人種にとってはこの上なく楽しめる作品でした。
ちなみに、このドラマには途方もないことに原作漫画が存在します。作画はなんと主演の寺西優真さん。kindleアンリミテッドには入ってなかったのでうっかり買ってしまいましたよ。
読んでみた感じAIやゴーストライターの仕事ではなさそう。イケメン俳優であり歌手であり漫画家でもある…なんてマルチな才能なんだ。
ちなみに漫画版だとラーメン対決はもっと大がかりでテレビ局のスタジオみたいな場所でやってるんですが、わずか2ページと1コマで終了。どっちに何票入ったかすら分からず、ダイジェストにもなってない。ここはせめて5ページ、できれば10ページくらいはかけて描写してほしかったなあ。ちなみにファンタスティック川井やクリーニング屋の小川さんはドラマ版と漫画版では性別が異なります。謎。

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