「蜘蛛の愛の記憶」 感想 スパイダーマンティックな怪作

概要

原題:Anapidae

製作:2024年フランス

配信:NQV Media

監督:Mathieu Morel

出演:Thomas Ducasse/Julie Morel/Fabienne Berthaud


人里離れた村の墓地で門番を務めるミノは、亡き人々を慈しみ、たまに訪れる弔問客や、巨大な蜘蛛の世話をしながら静かに暮らしている。そこへ現れたのは風変わりな女性マヤ。かつてふたりが愛したひとりの男の幽霊に導かれ、ミノとマヤは互いに惹かれ合っていく――。


(↑アマゾンより)


予告編

感想



「巨大な蜘蛛の世話をしながら暮らしている」

というあらすじの一文だけ見てレンタル(200円)してしまったフランス製の謎映画。



しかし中身はクモとの愛を描いたクモ飼育ドラマでは全くなく、非常に詩的なアート系恋愛映画でした。理屈より情感重視なので私にはだいぶ難度が高かったです。かなりザラついた古臭い映像なので完全に80年代の発掘品かと思って観てたらミノがスマホを眺めていてビックリ。普通に去年の作品だった。



墓守をしている男ミノのところに夫を亡くした女性マヤがやってくる。ふたりは惹かれ合っていくが、ミノの周囲にはタランチュラが妖しく徘徊し、さらには1m以上もある巨大な蜘蛛の影もあった。



ミノが1m超級のジャイアントスパイダーを実際に飼育していると考えたいのはやまやまですが、おそらくそうではなく何かのメタファーと見るべきなのでしょう。ミノは実はマヤではなく死んだ夫の方が好きだったらしく、墓を掘り起こしてネクロマンティックな行為に耽るという衝撃シーンがあります。まあ遺体と言ってもほぼ骨だけなので別にグロくはありませんが、それだけ彼の抱える悲しみは深いのだという表現としてジャイアントスパイダーが使われているような気がします。



恋愛映画はあまり好き好んで観ないジャンルではありますが、愛とか恋とかを言葉で語るのではなくわざわざデカいクモを使って非常に遠回しに分かりにくく表現されると、それはそれで映画的には面白味が出てくるもんだな…と思いました。




「蜘蛛の愛の記憶」(Amazon Prime Video)



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